【4】宮野さん(女)はえいとです【選択編】 (ページ9)

今日:1 hit、昨日:2 hit、合計:46,405 hit

⑨あの日の少年の夢ページ9

.

ASide

「はるって、何年生？」

「小2」

「8歳？」

「うん」

「お仕事な子供やねー」

「でも、宮野さんもでしょ」

「うん。私も8歳で事務所入ってたわ」

「おんなじだね」

「はるのこと好きやなあ私」

「なんで？」

「他の子役さんはもっと、パキパキして敬語な感じだから。
いつまでもこんな感じで居てよね」

「僕、普段は敬語だし、パキパキしてると思うけど」

「え？なんで私には？」

「はる、って呼ぶから。
はると君って猫なで声で呼ばないから」

「…そっか。」

はる、こと川原陽都くんは今回、ドラマで甥っ子の役をやってくれている。

この間、姪っ子が出来た私としては、なんだか身近に感じて、よく休憩中話をしていた。

この子は、ほんまに大人。

昔の私みたいに早く大人になりたくて、大人のフリして、背伸びして。

でも、はるのそれは、全然嫌みじゃなかった。

「はる、将来の夢とかあるん？」

「取材かよ」

「ええやん。」

「……世界一周。」

「売れっ子俳優になりたい、とかやないの？」

「もし落ちぶれた時に恥ずかしいし、夢なんて変わるものじゃん。
まあ、もし大きくなっても俳優になりたかったら、そう言うよ。
でも今は、世界一周」

「……変わるもの、」

「宮野さんは？夢、何だった？」

「……アイドル。」

「叶ったね」

「叶ったんかな？」

.