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第8章ー原作開始ー ページ3

駆け込んできた蘭ちゃんを椅子に落ち着かせた
時計を見ればもう10時を回っていた

意気消沈している彼女に、ホットミルクを手渡す

「…ありがとうございます」
「それで?どうしたの?」

彼女がミルクを飲み終わる頃には表情も幾分明るくなっていた
そのタイミングで切り出すとまた表情を暗くさせてしまったが

「その、今日、新一とトロピカルランドに行ったんです
えっと、優勝したら行くって約束してたから…
それで、8時くらいに遊び終わって帰ろうとしてたんです。
けど新一がいきなり走り出して…止められなかったから、出口で……待ってたんです」
「うん、うん。それで?」

途中でポロポロと涙を流す彼女の背をさすりながら、続きを促す

「けど…ずっと待ってたんですけど新一、帰ってこなくて……
電話にも出ないし……家にもいなくて…新一、もう…死んじゃってるかもしれない」

肩を震わせてハラハラと泣き続ける彼女を抱きしめて背を叩く

新一が走っていったということは面倒ごと、それも殺人事件や強盗の類いだろう
しかし、蘭ちゃんの話から騒ぎになっていなかったのだからこの二つはあり得ない

とすると、どこかの組織の取引現場でも見つけてしまったのだろうか
それなら、新一の好奇心を引くのも十分に頷ける

8時までこの子と一緒だったということは、新一は2時間の間その現場にいた
いや、実際は2時間もいなかったのかもしれない

最悪、彼女の言うように既に殺されている可能性もありか

私は最悪の結果からそっと目をそらし目の前の泣きじゃくる蘭に囁いた

「大丈夫、大丈夫よ。
きっと見けてあげるわ」
「グスッ…本当…ですか…?」
「ええ、私が失せ物探しが得意なこと知っているでしょう?」
「!…はい」

ようやく涙が引いた彼女に微笑みかける
納得してくれた蘭にホッとした
彼女も新一同様、暴走グセがあるのだ

「さ、そうと決まれば家に帰りなさい
車で送るわ」
「え、いや、結構です!これ以上ご迷惑をかけるわけには!」

慌てたように言う彼女にピシャリと言い返す

「ダメよ。送るわ
いい?他人に迷惑をかけるなんて当たり前なの。それに国民を守り、相談にも乗るのが警察官の仕事
これくらいは迷惑の範囲に入らないわ。むしろ、これからもこうして頼ってほしいの。
わかった?」
「ふふ、はい」

朗らかに笑う彼女を見てから最近購入した車のキーを取る

「さあ、帰りましょう」

そう言って彼女の手を引き車に乗り込んだ

*8ー1→←file:73584 神誓についての報告



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わたしの聖域[my sanctuary ](プロフ) - 大好きです!更新再開を待ってます!!! (2021年12月15日 20時) (レス) id: 929f7c31cb (このIDを非表示/違反報告)
りんご - 面白いです! (2021年8月27日 12時) (レス) id: 15d4b06566 (このIDを非表示/違反報告)
いちご(プロフ) - 素敵な作品ですね!!!更新再開はあるのでしょうか?楽しみにしてます!頑張って下さい! (2021年7月8日 17時) (レス) id: a2b06cd108 (このIDを非表示/違反報告)
くるクラ(プロフ) - かやめちゃんさん» コメントありがとうございます!楽しいと言っていただけるととても嬉しいです!ありがとうございます!! (2019年6月26日 16時) (レス) id: 7e8dc5ebed (このIDを非表示/違反報告)
かやめちゃん(プロフ) - コメント失礼します。いつも楽しく読ませていただいてます。これからも頑張って下さい! (2019年6月26日 0時) (レス) id: 5b17205ac0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:くるクラ | 作成日時:2019年6月7日 15時

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