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*9ー3 ページ17

「それで、FBIの長官が何しにここへ?」

警察庁応接室
黒い革張りのソファに座る欧米人は2人、入り口にいる捜査官は2人
入り口はどちらも男性、座っている方は片方は女性で片方は男性だ

私と神楽さんはその向かい側に座っていた
テーブルには4つの紅茶の入ったカップ

FBIからの話はこうだ
潜入している捜査官から連絡があった
一般人の逃亡幇助をしてほしい


「今までのお話から察するに不法入国、不法滞在、不法捜査。
この3つは確実に犯していらっしゃいますね。ここまでやっておいてこれ以上何をするおつもりで?」
「…先程話したように一般人の保護と逃亡幇助よ。警察官なんだから一般人の安全を守るべきでしょう?」

メガネの女性の捜査官ージョディーが苛立ちを含ませながら言った
随分上からの物言いに内心呆れてしまう
後ろに立っている椿さんの怒りが少しずつ湧き上がってきているのがわかる

今追っている組織に関わっている時点で一般人ではない
容疑者か、はたまた引き込まれたか

どちらにしても、私たちはFBIの尻拭いをさせられるわけだ
それか、尻拭いついでに裏でまだ動くのか…

「警察官だから…ですか」

態とらしくニッコリと微笑むと、ジョディは更に苛立たしげに眉を上げた
案外激昂しやすい人らしい

「何か変なことを言いまして?」
「いえ?ただ、貴方方は自分達で利用した一般人でさえ面倒を見きれないのか、とね」
「なっ!そんなわけがないわ!
ただ、保護してほしい対象が日本国籍だからよ!そのくらい分かるでしょう!?」
「ほう?なら何故保護をこちらに要請したのでしょう?自分達で解決できるのでは?
それとも……何か他の用事がおありで?」

微笑みながらも、殺気混ぜた目を細める
ビクリ、と彼女の方が揺れた
やはり何か隠しているのか

「神誓」

低い声でストップがかかる
神楽さんだ

少しやり過ぎたようだ

「…申し訳ありません。」
「はぁ…
すいませんね。此奴の前で尻尾を出しちまうとすぐ噛み付いちまうんです
特に後ろ暗いこととか」
「いやいや、構いませんよ。
噛み付いてはなさいなんて番犬としては尊敬に値する。うちの連中も血気盛んな奴が多くて」

もう一方の男ージェイムズーが朗らかに笑う

「心中お察しします」

なるほど
私たち警察官はたかが番犬、あんたらFBIが人間
手綱はそっちが持ってるってことですね


そんな事を笑顔の仮面に押し込め紅茶を啜った

ヒロの紅茶が無性に飲みたい
公安から連れてくるべきだっただろうか

*9ー4→←*9ー2



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わたしの聖域[my sanctuary ](プロフ) - 大好きです!更新再開を待ってます!!! (2021年12月15日 20時) (レス) id: 929f7c31cb (このIDを非表示/違反報告)
りんご - 面白いです! (2021年8月27日 12時) (レス) id: 15d4b06566 (このIDを非表示/違反報告)
いちご(プロフ) - 素敵な作品ですね!!!更新再開はあるのでしょうか?楽しみにしてます!頑張って下さい! (2021年7月8日 17時) (レス) id: a2b06cd108 (このIDを非表示/違反報告)
くるクラ(プロフ) - かやめちゃんさん» コメントありがとうございます!楽しいと言っていただけるととても嬉しいです!ありがとうございます!! (2019年6月26日 16時) (レス) id: 7e8dc5ebed (このIDを非表示/違反報告)
かやめちゃん(プロフ) - コメント失礼します。いつも楽しく読ませていただいてます。これからも頑張って下さい! (2019年6月26日 0時) (レス) id: 5b17205ac0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:くるクラ | 作成日時:2019年6月7日 15時

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