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*1ー3 ページ9

said 0

彼女が居ないと気づいたのは午後の授業が始まったすぐ後だった
彼女は一言で言えば、友人関係は良好で堅実、真面目なタイプだった
そんな彼女に自分でも信じられないが
所謂一目惚れをしていた俺は、毎日彼女を目で追っていた

その様子をクラスメイトは気づいていたのだろう
入学式初日からたくさんあった告白やラブレターは段々と少なくなっていった
…0になったわけではないが、マシな方だろう

閑話休題

そんな彼女が居ないとなれば保健室だろうと検討をつけ次の休み時間に行ったが
彼女はそこにも居なかった
先生に言っても分からないというし
比較的彼女と仲の良い女子も揃って首を振った

釈然としないままチャイムがなりそのまま授業を受けた

彼女のことだから
授業を受けているうちに帰ってくるかもしれない
と思っていたが中々戻ってこない

側から見たら相当落ち着きがなかったで在ろう俺を見兼ねて
ヒロが仮病を使って俺を引っ張って来た
全生徒が授業中で廊下はシンと静まっている

「おい、ヒロ!どこ行くんだよ」
「ゼロ、聞けって。生徒が先生の許可なしに行ける場所なんて4つしかねぇだろ?」

自慢気に話す親友を思わずジト目で見ると、彼は苦笑しながら階段を上っていく

「1つ目、保健室。2つ目、生徒指導室。3つ目、体育館倉庫。4つ目が」
「…屋上か」
「ご名答」

茶目っ気たっぷりウィンクするヒロに呆れつつも周りが見えていなかった自分を叱咤する
これじゃあ、子供みたいだ

目的地がわかったので大人しくついていく
やがて屋上に着いた

真新しいドアを開ける


その光景に、美しさに、息を飲んだ

澄んで雲ひとつもない青い空
その中にただ一点だけも黒い艶やかな波打った髪が広がる
風に運ばれて届く綺麗な歌声は
どこか哀しさを含んで宙を舞っていた

彼女は白い柵に寄りかかり
今にも空の青に溶けてしまいそうな儚さがあった

危うい

気づいたら一歩を踏み出し声を掛けていた

「おい、先生が探してるぞ」

まあ、出てきた言葉はあまりにもぶっきらぼうだったが

*1ー4→←*1ー2



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al8056(プロフ) - この世界ではの話でネグリジュじゃなくてネグリジェだも思います! (2020年6月3日 0時) (レス) id: bd89f0112b (このIDを非表示/違反報告)
くるクラ(プロフ) - ayuさん» ありがとうございます!頑張って更新します!! (2019年5月21日 18時) (レス) id: 7e8dc5ebed (このIDを非表示/違反報告)
ayu - 初コメント失礼します!この作品がすごく面白くて更新楽しみにしてます!応援してます! (2019年5月21日 8時) (レス) id: e1359604fe (このIDを非表示/違反報告)
くるクラ(プロフ) - 白桜姫さん» ありがとうございます! (2019年5月21日 7時) (レス) id: 7e8dc5ebed (このIDを非表示/違反報告)
白桜姫 - あなたが神か?最高! (2019年5月20日 0時) (レス) id: b2ef42075e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:くるクラ | 作成日時:2019年5月19日 20時

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