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歯車が回り始め ページ5

前世の自分に比べれば今世はとても幸せだった

確かに物騒な町ではあったが巻き込まれなければ安全だし
何より自由だった

父は私が生まれる前に亡くなってしまっていて
あの大きなハウスには私と今世の母の亜里沙だけが住んでいた

毎日、毎日穏やかな日々が続いた


しかし

それは唐突に終わりを告げた

私の5歳の誕生日の時だった
その日、私と母は町で服を買いに出かけていた

ただブラブラと町を重巡し、気に入った店に入る
その繰り返しだ


唐突に母が一つの店のショーウィンドウを指差した

「ねえ、A。あのケーキ美味しそうね!」
「…ああ、あのショートケーキ?」
「そう!今日はAの誕生日だし買っていきましょう!」
「ふふ、ええ。」

無邪気な母の笑顔に微笑みを浮かべ歩き出した


その時だった



「キャーーー!」
「おい!そっちに行ったぞ!!」

荒々しい音と悲鳴がすぐ後ろから聞こえた
振り返ると同時に暖かいなにかが私を包んだ

ドッ

と重々しい音と衝撃が体に響いた

目の前には母の今日来ていたセーター
鼻腔に広がるのは母の匂いと

かすかに香る嗅ぎ慣れた鉄の匂い…

ズルリと視界が開け近くでドサリと重々しい音がやけに響いた
瞠目してから見ると地面には母が倒れていた
大きな赤い血がみるみると大きくなっていく

息が苦しくて自分の鼓動が耳のそばで聞こえた

母の虚ろな目とあの子達の目が重なり
私を見つめる

白いセーターが赤に染まっていく様は
あの花のようで

息が苦しくて、目から涙がこぼれていく
胸元を握るも苦しさは変わらない
地面が大きく揺れて頭が痛い


意識が落ちる寸前に
誰かが背後から走ってくるのが聞こえた

第1章→←この世界では



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al8056(プロフ) - この世界ではの話でネグリジュじゃなくてネグリジェだも思います! (2020年6月3日 0時) (レス) id: bd89f0112b (このIDを非表示/違反報告)
くるクラ(プロフ) - ayuさん» ありがとうございます!頑張って更新します!! (2019年5月21日 18時) (レス) id: 7e8dc5ebed (このIDを非表示/違反報告)
ayu - 初コメント失礼します!この作品がすごく面白くて更新楽しみにしてます!応援してます! (2019年5月21日 8時) (レス) id: e1359604fe (このIDを非表示/違反報告)
くるクラ(プロフ) - 白桜姫さん» ありがとうございます! (2019年5月21日 7時) (レス) id: 7e8dc5ebed (このIDを非表示/違反報告)
白桜姫 - あなたが神か?最高! (2019年5月20日 0時) (レス) id: b2ef42075e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:くるクラ | 作成日時:2019年5月19日 20時

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