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*3ー2 ページ23

後ろから放たれた拳を状態を捻って、すんでのところで躱す
すると、その拳はソファーの背もたれにあたり形成していた骨格を砕いた

これに当たっていたら、病院どころではない

すぐに男の胴に蹴りを入れて吹き飛ばすが
生憎この男はそれを予想していたようで、当たる瞬間に地面を蹴って後ろに飛んでいた

本当に危なかった
一瞬、笑顔の仮面が剥がれかけるほどに
もう何十年ぶりかの殺気だ
過剰に反応するのも仕方がない

「いい動きをするな。本当に高校生なのか疑いたくなる」

吹き飛んだ男に一瞥し、喉の奥で笑う黒田に向き直る
もちろん、笑顔の仮面を分厚くして

「ご説明いただいても?」
「ああ、勿論だ。梶原くんも座りたまえ」
「はい」

私の蹴りを食らった梶原という男は、ダメージが全く入っていないらしい
先ほどのことがないかのように颯爽と歩いてストンと座る

「改めて初めまして。
私は警察庁警備局警備企画課の黒田兵衛だ。こっちは部下の梶原。よろしく」

黒川、もとい黒田はそう言った
警察庁の警備企画課…確かゼロと呼ばれる部署だった筈だ
赤井さんに聴いたことがある
確か機密性が特に高い部署じゃなかったか?
流石に本名ではないだろうが本当に所属しているなら今すぐお引き取り願いたい

「その様子だと知っているようだな」

黒田さんの鋭い声が私の意識を思考から引き上げる
大物を前に考えに熱中するなんて本当に平和ボケしている

「ええ、小耳に挟んだ程度ですが。確か警察組織内で機密性が特に高い部署では?」
「…そこまで知っているのか。情報源がどこだか知らないがまだその認識で構わない。」

まだ、か…

梶原が音もなくバックから封筒を取り出す
A4サイズの茶封筒で中に数枚の紙が入っていた

「さて、本題に入ろうか」

とてつもなく嫌な予感がする

「はい」
「実は、警察内部では今年から新設部署が出来る。
名前は警備局警備企画課第2係。その部署は警察内部の膿を取り出す部署だ。
君にはそこに入ってもらう」

高圧的とも取れる言葉で確定事項かのように述べられる内容に一瞬だけ怒りが湧いた
いや、実際にそうなのだろう

梶原のカバンに拳銃が入っていた
わざと見せるように開いたのはこういうことだ
断ったら死ぬ、と

怒りが沸き起こったが、すぐに諦めと言い知れない安堵に覆われた
人生のレールに乗っかれると言う安堵と、結局私はレールの上でないと生きていけないと言う諦めだ


「…わかりました」


無機質な了承の声が部屋に響いた

*3ー3→←*3ー1



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al8056(プロフ) - この世界ではの話でネグリジュじゃなくてネグリジェだも思います! (2020年6月3日 0時) (レス) id: bd89f0112b (このIDを非表示/違反報告)
くるクラ(プロフ) - ayuさん» ありがとうございます!頑張って更新します!! (2019年5月21日 18時) (レス) id: 7e8dc5ebed (このIDを非表示/違反報告)
ayu - 初コメント失礼します!この作品がすごく面白くて更新楽しみにしてます!応援してます! (2019年5月21日 8時) (レス) id: e1359604fe (このIDを非表示/違反報告)
くるクラ(プロフ) - 白桜姫さん» ありがとうございます! (2019年5月21日 7時) (レス) id: 7e8dc5ebed (このIDを非表示/違反報告)
白桜姫 - あなたが神か?最高! (2019年5月20日 0時) (レス) id: b2ef42075e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:くるクラ | 作成日時:2019年5月19日 20時

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