かくして世界は切り替わりました

［49通目］ ページ14

バーボン said

ぼうっとしてベットに座る彼女に目を向けた
どうやら薬が効いてきたらしい
常人ならリンゴ一個分食べればすぐに症状が出る自白剤だったが
やはり幹部だからか。薬が効きにくい体質のようだ

「明烏。あなたの名前は？」

少しの罪悪感を押し殺しバーボンの声で明烏に効く
すると、烏はゆっくりと首を傾げた

「なまえ？なんでそんなこと聞くの？安吾さん」

柔らかい笑みを浮かべた彼女は誰なのだろうか
年相応に微笑んだ彼女に罪悪感が募る
それとは裏腹に出てきた情報を頭に入れる自分がいた

「…そうでしたね。貴女、家に帰っているんですか？」
「ははっ安吾さんにいわれたくなーい。それに兄さんがまだ本部にいるのに帰れるわけないでしょ？
ここ4日は帰ってないや。昨日ね紅葉の姐さんに助けてもらったんだー。和菓子を貰った幸慈堂の高い奴。それから森さんがとエリスちゃんとね。服を買いに行ったんだよ。そしたら兄さんが拗ねちゃって『私もAの服選びたかった！』って言いながら龍くんの訓練をしてたから、すごい傷だらけになっちゃったんだけど兄さんが任務に送ってた。鬼だよねー」

いつもより饒舌に感情の乗った言葉をスラスラと語る彼女に胸がしまった
何故って、こんなに感情が、表情が豊かな彼女を初めて見て
まだ年端の行かない少女だと改めて認識してしまったんだ

「あぁ、なんだか君に沢山聞いてほしいことが沢山あるんだ
なんだか長い間会ってないみたい。織田作さん元気？最近兄さんの顔も見てない気がするや
あの人、最年少幹部、だなんて持ち上げられて疲れてないかな？兄さんも人間なのにね。彼奴らはそんなこともわかってないんだよ！」
「…そうですね。彼も感情がありますから」
「うんうん。そうだよね。さすがは安吾さんだ。」

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