かくして世界は切り替わりました

［37通目］ ページ2

次の日はバーボンは休みにした
電話越しの声から結構嘔吐を繰り返したのが分かったからだ
ライはキャンティと九州に飛ばした
お仕置きは次の機会だ

だから、今日はスコッチと組む事となった

アジトの執務室で書類整理をしているとノックが聞こえた
返事をすればライフルを持ったスコッチがいた

「こんにちは〜ってすごい量だな」

机や床に積み上がっている書類を見てスコッチが顔を歪めた
これくらいは普通だと思いたいがそうじゃないらしい

「…まあね、組織全体の書類だし
脳筋ばかりで誰も書類仕事をやりたがらない」
「そうなのか…今日の仕事は？」
「暗殺任務
少し周り道しても？」
「ああ、構わないよ」

目を通し終わった書類の訂正箇所を記入して書類を手に持つ
すると、スコッチが半分持ってくれた

「手伝うよ」
「ありがと。最初にジン管轄の研究室に行こう」
「りょーかい」

さて、志保は仕事しているのだろうか


研究室の扉をスコッチが叩く
私はあいにく書類(シェリーの研究失敗請求書)で両手がふさがっているからだ

「…どうぞ」

窶れた声が聞こえた
その声にため息をつきつつ、スコッチに開けてもらう
部屋の奥にいる志保はやはり寝ていないようで窶れた顔をしていた

決して広くない部屋なので扉の前にスコッチを待たせた

「やあ、志保ちゃん
こんにちは」
「…太宰さん
請求書の事？」
「志保ちゃん、明烏だよ？
本名を出すんじゃない」
「戸籍自体残っていないのに？」

彼女の皮肉ににっこりと笑いかける
それから彼女に歩み寄り目の前で止まった

「宮野志保…いくらあなたの頭脳が組織から欲されているとはいえ
あまり失敗があるなら消されるわよ？」
「！……分かってるわ…」
「あなたが消されないことを祈るよ
お姉さんに会いたいなら言いなさい。一回くらいは言ってあげる
今回だけこの請求書はもみ消してあげる」
「…そう」

疲弊した彼女に働かせても何もならない
適度に飴や休息を上げなければ請求書が増えるだけだ

「スコッチ、今日の任務は、ひっじょ〜うに！嫌だけどジンと行く
この場所に志保を連れてって」
「え？あ、おう」
「志保、今日だけは甘やかしてあげる
明日から働きなよ」
「……ありがとう」

志保はスコッチに連れられて部屋を出て行った
私は部屋にある志保の研究データがあるパソコンに近づく

データを見ればやはり計算が合わない
ちょちょっと改竄して保存する

「よし、これで組織の利益は保たれた」

あとはあの子のやる気次第である

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