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質拾参 ページ13

「A…どうしても危ない時は拙者の逆刃刀の峰側を使うでござるよ。」




「何言ってんだ剣心…おいA!!刀はそのままで使えよ!峰なんか使ったらタダじゃおかねえからな!」


剣心さんが言った言葉に私よりも先に返す左之助。




「不殺ずの誓いを立ているのは拙者。此の期に及んでそんなことを言ってる場合では…」


「分かってるって!使わないから大丈夫!」





剣心さんのこの血を浴びたことのない刀を、私なんかが汚すことはできない。

そんなのは百も承知だ。






相手が改心するのを待つか…それとも宗次郎が殺すのを待つか。

方法はそれのみだ。



頭を狙えば…もしかしたら脳震盪とかでふらつくかもしれないけど、死んだわけじゃない。








「…僕が志々雄さんに止めを刺す。」


「うん…分かった。」



宗次郎が片足でジャンプしながら志々雄を睨む。

そして私にニコッと微笑んだかと思うと、隣から宗次郎が消える。




風が私の前髪と横髪を揺らしていた。






私は自分の頬を左手で叩き、志々雄と宗次郎のもとへ走っていく。





逆刃刀を思い切り振りかざし、志々雄の背中を叩いた。

志々雄が宗次郎を足で蹴りながら振り向きざまに私に刀を振る。




炎が私の顔すれすれに横切る。




熱さで目が痛い。
眩い炎の光で目が眩んだ。

目の中央に真っ黒な物が見える。


誰かの叫び声が聞こえた。
男の声じゃない。


反射的に目を抑えると同時に感じる左腕の焼けるような痛み。




左腕を抱えて志々雄を見上げると、志々雄と私の間に宗次郎が入る。



宗次郎が志々雄の刀を止めてくれたと分かったのはそれから少し後。




宗次郎が志々雄の振り上げた足をかわして目にも止まらない速さで志々雄の鎖骨辺りを突いた…


いや…違う。





突いたのは志々雄じゃない…






「由美…さん……」





宗次郎が驚いたように刀の柄から手を離す。





だめだ…柄から手を離したら突然の攻撃に応戦できない…



左腕の痛みを堪えて、滲み出る汗を拭い立ち上がる。




由美さんの胸から刀を抜いた。





志々雄が由美さんを抱き起こす。
その隙に宗次郎に刀を渡した。


「由美……」






宗次郎が柄を握る。



「宗次郎…」





「A…僕……由美さんを殺すつもりは…」




「うん…分かってるよ……。」








痛みと驚きで頭が真っ白になり、それ以上の事は考えられない。





志々雄が由美さんを抱えて階段へ向かっていった。

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設定タグ:るろうに剣心 , 瀬田宗次郎 , 神木隆之介   
作品ジャンル:恋愛
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キーさん(プロフ) - もう7年も前の作品だけど、いつか更新されることを願ってます! (2021年8月19日 16時) (レス) id: 1d2c287881 (このIDを非表示/違反報告)
╋雨降りジョーカー╋(プロフ) - 控えめに言って 神作品。作者さん凄すぎるわ...この作品は非の打ち所のないんだけど... (2018年10月17日 23時) (レス) id: 380c7fa183 (このIDを非表示/違反報告)
ユウ - とっっっても面白かったです! 楽しい時間をありがとうございました! (2016年12月20日 19時) (レス) id: 88676b10f6 (このIDを非表示/違反報告)
北山LOVE - チョー面白かった!宗次郎大好き! (2016年12月10日 4時) (レス) id: 2b9049c483 (このIDを非表示/違反報告)
さくら - めっちゃ面白かったです。宗次郎が剣心の味方なのもいいですね!ありがとうございました。。 (2016年7月3日 1時) (レス) id: c21e049532 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:青りんご | 作成日時:2014年12月21日 10時

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