質拾弐 ページ12
これこそが火事場の馬鹿力っていうのかな。
ガキンッ！
刀の折れる音とともに、決死の覚悟でギリギリ宗次郎の志々雄の間に刀を入れることができた。
志々雄の刀が飛んでいく。
私は…志々雄の刀を弾き飛ばしたんだ。
「A……」
宗次郎が私の名前を呼ぶ。
「宗次郎、剣心さん達のところに行って！刀がないのは危ないよ！」
「だめだ…僕が行く！僕にその刀をくれ！」
「やだ！絶対あげない！」
何を子供染みたこと言ってるんだろう…
きっと私が役に立ちたいんだろう。
宗次郎の思いを無視して…
宗次郎が志々雄を倒したいって言ってるのに。
どうしてこんな時にわがまま言っちゃうんだろう。
でも宗次郎は…死ぬ覚悟なんでしょ？
なら絶対に渡さない…
刀は渡さない。
志々雄が私に背を向け、重々しい足取りで飛んだ刀を取りに行く。
今斬ってしまうのも手だ。
…けど、そんなのでやられるほどの男じゃない。
きっと思いもよらない体術で私を殺しに来るだろう。
それなら彼が刀を取ってからの方が、想定内の攻撃で済む。
志々雄が刀を拾った。
「Aは生きろ…頼むから……」
宗次郎の声が震えている。
大きさ自体も小さい。
きっと泣く寸前だ。
絶体絶命の境地に立たされて涙もろくなっているのだろう。
普段の宗次郎ならこんなことで泣かない。
「はっはっは…仲良しごっこか。面白ぇ…。二人まとめて叩き斬ってやる。」
笑う志々雄を睨む。
刀を構えると、刃が自分の方へ向いている。
そっか…剣心さんの刀だから、逆刃刀か。
これじゃあ殺すことはできない。
撲殺しろってこと？
だめだ。
剣心さんは、不殺ずの誓いを立ててる。
殺すために作られたわけじゃない刀で、この男を殺すことは不可能。
どうすれば…
「俺の刀を使え。瀬田宗次郎。」
後ろを向くと、宗次郎に斎藤さんが刀を渡している。
「…あ…ありがとうございます…。」
驚いたように立ち上がり、斎藤さんなら刀を受け取る。
「斎藤さん…。」
斎藤さんが私達を見て煙草を咥え、笑った。
宗次郎が刀を抜き鞘を捨てた。
「いいぞ…もっと俺を楽しませろ！！」
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キーさん(プロフ) - もう7年も前の作品だけど、いつか更新されることを願ってます！ (2021年8月19日 16時) (
レス) id: 1d2c287881 (このIDを非表示/違反報告)
╋雨降りジョーカー╋(プロフ) - 控えめに言って 神作品。作者さん凄すぎるわ...この作品は非の打ち所のないんだけど... (2018年10月17日 23時) (レス) id: 380c7fa183 (このIDを非表示/違反報告)
ユウ - とっっっても面白かったです！ 楽しい時間をありがとうございました！ (2016年12月20日 19時) (レス) id: 88676b10f6 (このIDを非表示/違反報告)
北山LOVE - チョー面白かった！宗次郎大好き！ (2016年12月10日 4時) (レス) id: 2b9049c483 (このIDを非表示/違反報告)
さくら - めっちゃ面白かったです。宗次郎が剣心の味方なのもいいですね！ありがとうございました。。 (2016年7月3日 1時) (レス) id: c21e049532 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：青りんご | 作成日時：2014年12月21日 10時
