るろうに剣心もう一つの伝説《瀬田宗次郎編》《京都大火編》《伝説の最後編》 (ページ49)

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六什ページ49

いろいろあったけど、しばらくして左之助が形相を変えて走ってきた。

酔っ払っているという印象はない。

「おい…おい、大変だ！」

「早く言いなさいよ。」

肩で息をしながら私達を見つめている。

「ちげえよ…いいか…剣心が………捕まった…」

頭の中が真っ白になる。

どうして…

ありえない…ありえないのに……

「…何よ…それ……左之助！どういうことなの！？」

「ざけんなよ！！なんで剣心が捕まるんだよ！！」

チラッと宗次郎を見ると、さっきまでの笑顔は消え、真剣な眼差しを左之助に向けている。

「なんなのよ……」

「いいから、早く剣心のところに行くしかねぇだろ！！俺は先に言ってる！場所は浜だ！」

それだけ言うと、全速力で走って行ってしまった。

「A……助けて………」

目に涙を溜めながら私を見つめる。

「分かってる。でも刀を取ってこなくちゃ…薫は先に行ってて！弥彦も！」

「分かった！」

「薫を頼んだよ！」

急いで踵を返して宗次郎の腕を引っ張る。

「僕が刀を持って外で待ってますから。」

「うん！よろしく！」

干してある私の着物を掴む。

着物を脱ぎ、青い着物に袖を通す。
腰帯を締めて袴の紐を結ぶ。

髪も普段通りに一つに結んで、足袋を履き草鞋の紐を結んで。

外で待っている宗次郎から刀を受け取り走る。

私たちが浜に着いた時、ちょうど剣心さんも到着したようだ。

剣心さんが座った場所の周りには竹でできた柵があって、その周りに民衆がたくさんいる。

「どうやって入ろう…」

「そんなの簡単じゃないですか。」

宗次郎は民衆の中にいる左之助を見つけ出した。

薫と弥彦も、恵もいる。

「相楽さん、僕と優月を持ち上げて柵の中に入れてください。」

は！？
でもそうだね…そうじゃなければ中には入れない。

「おう！」

左之助は両脇に私と宗次郎を抱えた。

「一人ずつじゃないの！？」

「そんな面倒くせぇことしてられっかよ！」

「これは予想外でしたね。」

不敵な笑みで私を見たと思ったら、視界が激しく回る。

「うわっ！」

宗次郎は足から着地したようだ。
すでに立っていて、私に手を差し伸べる。

その手を掴んで私が立ち上がる。

「こう見ると結構人がいますね。」

「そうだね…」

民衆の視線が私たちに注がれる。
しんと静まり返って…

嵐の前の静けさとは、このことを言ったのだ。