るろうに剣心もう一つの伝説《瀬田宗次郎編》《京都大火編》《伝説の最後編》 (ページ47)

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伍什八ページ47

Aと宗次郎の稽古をたまたま見かけた。

なんだか…剣心を最近見ていなかったせいか、物凄い迫力に見えた。

いや、見ていてもそう思っただろう。

弥彦と左之助も唖然としていたし、私だってそうだった。

あれを見ていたら、志々雄を倒すのも…もしかしたら剣心じゃないのかもしれない、なんて考えてしまう。

私からしたら、剣心とAと宗次郎の3人で順位をつけるなんてことはできない。

同じくらい強い。

そんな稽古が終わり、約束の時間になった。

「ねぇA、手配書回ってるんだから男装じゃ危ないでしょ？これ着て行きなさいよ。」

Aに渡したのは、可愛らしい薄桃色の着物。

裾や着物の袖に綺麗な花が入れてある。

手配書の事もあるけど、私がもっと期待しているのはAが女の子らしくなること。

あの子は着るもので性格が変わる。

女物の着物を着た途端に仕草とかが変わって、やっぱり年頃の女の子なんだなぁ…と実感させられる。

「え…いいの？ありがとう！」

帯締めを渡して、違う部屋に移す。

「着替え終わったら教えてね！」
襖に向かって話しかけた。

しばらくして出てきたのは、紛れもなく女の子。

可愛い着物に着替えた、お年頃の女の子だった。

「さ、髪の毛やってあげるわ。」

「え？いいの！？」

嬉しそうに笑みをこぼす。

飾り気のない一つに結んだ髪を解き、櫛でとかす。

さらさらの艶髪が綺麗にまとまっていく。

それを一つに束ね、横へ持っていく。
そしてそれをお団子のように丸めて留めた。

簪をつけてあげて、完成。

「できた！」

「うわぁ…！！ありがとう！！」

顔がくしゃくしゃになるほどの笑顔で私を見つめている。

「いいのよ。さ、行きましょ！宗次郎…どんな顔するかしらね。」

そう言うと、Aは挙動不審になる。←

「え！？あ、あぁー…え…どど、どうかな？あは！」

その様子があまりにも面白くて、笑ってしまう。

Aも私と一緒に笑っている。

「おい！てめぇらいつまで支度してんだよ！もう行くぞ…って、やっぱお前女だな。」

左之助がいきなり入ってきた。

「うわっ！びっくりしたぁ…今から行くから、女って言うな。」

左之助の前ではちゃんと男やるんだなぁ。

「あぁー分かった分かった。じゃ、俺らはそこにいるから早く来いよ。」

そう言うと部屋から出て行った。

「さぁ行こ！」

Aに手を引かれ、みんなが待つ玄関へ急いだ。