るろうに剣心もう一つの伝説《瀬田宗次郎編》《京都大火編》《伝説の最後編》 (ページ18)

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参什弐ページ18

志々雄さん…どうしてここが…

そうだ、A……Aを守らなきゃ…

こんな立ち尽くしてる暇はない。
早く刀を抜かなくちゃ。

でも…手が動かない。

「し…志々雄さん…」

「僕は……」

包帯の間から僅かに覗く志々雄さんの目が僕を見つめている。

何か言わなくちゃ…

僕が息を吸って、口を開いたとき。

「こっ…ここ、ここは…に、に、に、」

…は？
何言ってるんだろう、Aは。

「に？」

ほら…志々雄さんもすごく怖い声で…

「…Aは黙ってた方がいいですよ。」

「にっ…逃げるが勝ちっ！」

え！？

そう思った時には遅かった。
Aは僕の腕をしっかりと掴んで窓から飛び出していた。

「ちょっとA！」

Aを見る余裕もなく、そう呼びかける。

でも、声が聞こえてきた。

「う…わ……！！」

…この子は多分、受け身ができないんだ。

しょうがない…か。

僕はAの腕を掴むと、僕が下になるように向きを変えた。

…ここまで僅か1秒。

下にあったのが藁で良かった。

それでも二階から飛び降りたら、いくら僕でも骨くらいは折れるだろう。

受け身をしてAの重みを回避する。

「A、大丈夫…？」

「う…あぁ…だ、大丈夫…」

待てよ、ここにいたらいつ志々雄さんがやってくるか分からない。

「お前には幻滅した。もう興味はない。」

そう聞こえた。
僕の後ろで。

振り向かなくても分かる。

この声は志々雄さんで、幻聴なんかじゃない、確かにそこにいる。

そして足音はどんどんと遠ざかっていった。

…これでいいんだ。
志々雄さんは間違ってる。

京都を焼き尽くそうなんて…間違ってるんだ。

…ん？
京都を焼き尽くす…いつだっけ？

「ゴホッ…宗次郎こそ大丈夫？」

咳き込んでいるAが僕を見つめていた。

「あぁ……明日だ。」