るろうに剣心もう一つの伝説《瀬田宗次郎編》《京都大火編》《伝説の最後編》 (ページ12)

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弐什六ページ12

「ねぇ、あの…本当にごめんなさい。」

「別に怒ってません。志々雄さんに頼まれた人だから守っただけです。」

え…？
そうだったの？

…志々雄のために、私を助けてくれたの？

な、なんだ…

なんか私、勘違いしちゃったよ。

「そっか！それじゃあ私、早く志々雄のところに行かないとだね。さっさと私がいなくなればいいね。」

はぁ…なんで私逆ギレしてんの？
悪いのは私なのに。

そっか…私のことは全く頭になかったんだ。

警察から私を守ってくれたのは、全部志々雄のため。

「まぁそうですね。でも正直志々雄さんのところには行って欲しくないですね。僕の志々雄さんが取られちゃいますから。」

「そうだね。…私のことなんて早く殺しなよ。」

辛いし悲しいけど…でも、宗次郎に斬られるなら私は幸せだよ…。

「ちょっと待ってね、心の準備が整ってないから。」

目を瞑って宗次郎を思い出す。

そうだな…最初に会ったのは、まだ私が道場で稽古してた頃。

入門してすぐ、たくさんの男の子たちに囲まれて、怖かった。

…私を助けてくれる人は誰もいなかった。

それなのに…

たまに村へ来るあの人は…
私を見つけてくれた。

最初に話したのは、外で私が休憩してる時だったね。

『何してるんですか？』

『や…別に。』

『虐められてるんですか？』

『ち、違っ…！』

『ちょっと来てください。』

『え…？』

それで連れてこられたのは、人気の少ない場所。

『ちょっと構えてみてください。』

『こう…？』

持っていた木刀を、構えてみる。

自信は無かったけど。

『ふふ、そこからダメじゃないですか。』

『だって師範が…』

『そんなの言い訳じゃないですか。所詮この世は弱肉強食。』

『強いものは生き、弱いものは死ぬんです。』

『うん…』

『分ったなら、自力で強くなったらどうです？それじゃあ僕はこれで。』

『え…？あ、ありごとうございました…』

…あの時に助けてくれたのは宗次郎。

私の好きな人。

ありがとう、宗次郎…

ゆっくりと目を開ける。

「覚悟できた。」

なぜか優しい気持ちになっていて、微笑むことができた。

宗次郎が刀を構えると、目の前から宗次郎が消えた。

最後まで笑顔だったな、宗次郎。

「好きだよ…宗次郎…」

それだけ呟けば、無念はない。

途端に目の前が真っ暗になり、意識が抜けた。