笑みの意味 ページ46
私の目の前にいるセシルが「来るな」と言って後ずさる
分かってる
目の前にいるのはセシルではないことくらい
だけど…
『やっぱり傷つくなぁ…』
私はその場から逃げ出そうとするセシル…もとい精霊を押さえつけた
「グゥァ…」
苦しそうに呻く
私はそいつの耳に顔を近づけた
『…好き放題やったんだから もう終わりでいいでしょう？』
ピタリと動きを止めたかと思うと
「グァァァアアアアッ…！」
恐怖を覚えたのか更に暴れ出した
影達も押さえられなくなっている
また瘴気を放ち出した
それに触れた影達は一瞬で溶けていくように浄化されていく
私はセシルを抱き締めるように首に両腕を回した
「ヤめ…ろ…！ハナ…ッはナセ…！！」
更に高濃度の瘴気が私の肌に触れる
ジュッ…
爛れたように私の腕は溶けだす
痛い
「A！」
リムルの声が聞こえた
私は少し振り返り､リムルに対して微笑んだ
リムルは此方に駆け寄ろうとしていた足を止める
『…大丈夫』
セシルは苦しんでる
それはきっと精霊に対してではない
過去の自分に…飲み込まれそうなんだ
セシルから聞いたことがある
セシルの…本当の名前を…
『…"コトネ"』
策？
そんなものは無い
ともかく意識を戻すだけの脳筋思考だ
だが一瞬､僅かに時が止まったような気がした
辺りはしんと静まり返り､空気が凍りつくような…
「…嫌ッ…！嫌だ…！！」
…思った通り
『"コトネ"！貴方はセシルじゃない 日本人"コトネ・アリムラ"…そうでしょう？！』
瘴気は更に濃くなっていく
私の腕から逃げ出そうと藻掻くセシルを私は強く抱き締めた
『"コトネ"！！』
その時､周りの空気が変わった
セシル…いや､コトネは勝ったんだ
「A…？」
額には汗が浮かび､息苦しそうだがその澄んだ瞳を見た私はホッとして腕の力を緩めた
私の膝の上に頭を置く
良かった…
『立てる？』
コトネは足に力を入れようとする
だがそれもすぐに力なく倒れた
「…ダメみたい ごめんなさい」
その謝罪は､何に対してなのだろう
…時間切れ､か
『…あとは､コトネが決めていいよ』
生半可な気持ちではダメなことくらい分かっている
だけど…これは私一個人が決めていいようなことではないのだから
コトネは一瞬､戸惑ったような表情をしたが
次の瞬間悲しみを帯びた瞳でクスリと笑った
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セイ - 最近は土日も仕事があって更新が遅くなりました...心のこもったコメント凄く励みになります！本当にありがとうございます！ (2020年7月19日 23時) (
レス) id: 8e72f4c5b9 (このIDを非表示/違反報告)
まめ - 毎日毎日楽しみながら読んでます！更新頑張ってください！とっても面白いです (2020年7月17日 7時) (レス) id: 28d482e202 (このIDを非表示/違反報告)
セイ - ちょっと古いですけどDetroit Become Humanですかねー (2020年6月28日 23時) (レス) id: 8e72f4c5b9 (このIDを非表示/違反報告)
ロビン - ps4持ってるんですねっ！！私も持ってます！ちなみにオススメのソフトってなんですか？？？ (2020年6月12日 1時) (レス) id: 955356ab25 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：セイ | 作成日時：2020年5月29日 3時
