忘れられた記憶と思い出 ページ42
〜セシルside〜
…ここはどこだろう
暗くて何も見えない
手足の感覚さえ感じない
早く…早く戻らないと
…あれ？
どこに戻らないといけないの…？
なんの為に…
私は…
ピピピ…ピピピ…
目覚まし時計の音で私は目が覚めた
「…今日も学校か」
ハァとため息をつきながら重い体を無理矢理起こす
ブレザーの制服に着替えてギシギシと軋む階段を踏みながら1階に下りた
「おはよう おばあちゃん」
「…誰だい？」
おばあちゃんは細く時折震えている両手で湯呑みを握っている
白い髪に曲がった腰
背も縮み､子供のような見た目
おばあちゃんは毎日苦い苦いお茶を飲む
毎朝の日課だ
「もう…そういう冗談は洒落にならないよ？」
「ごめんねぇ」
父と母は共働きで､いつ帰ってこれるかも分からない
私はほぼ厄介払いされるかのごとく祖母の家で住むことになっていた
「朝ごはん…食べないのかい？」
「今日は部活の朝練があるの」
私はそう言って靴箱に立てかけていたラケットを手に取った
「ねぇ×××ちゃん…」
…ん？
「おばあちゃん…今なんて…」
「もうお薬がなくなりそうでねぇ…」
…あぁ
「んー…今日は放課後も部活があるんだけど…分かった できるだけ早く帰ってくるね」
「ありがとねぇ」
おばあちゃんは足を引きずりながら居間に戻っていく
「いってきます」
私は引き戸を開けて人通りの少ない道を走った
「ちょっと遅くなっちゃったな…病院､閉まっちゃうかも…」
私は車やバイクが走っている大通りを急いで家に向かっていた
ふと､街灯がチカチカと光っている車が1台やっと通れるほどの狭い道に目がいった
…こっちから帰ったら早いけど
少し暗いから危ないって聞いたことがある…
…まぁ 今日くらいはいいかな
私は大通りから離れ､その道を突っ切って歩いた
…確かに暗い
昨日見たホラー映画の幽霊が脳裏を過り､ブルルッと肩を震わせた
大丈夫大丈夫…
あと少しでまだ広めの道に出る
そこは街灯も多いし明るいだろう
誰かしら人はいるはずだ
少し歩いて､すぐのことだった
やっと道を抜けたと思ったその時
キキーッ！！
「…ッ！」
見通しの悪い道だったからだろうか
乗用車が私に向かって突っ込んできた
まるで鳥を絞め殺したかのような声で車が鳴く
ここらは空き家が多く､あまり人は見かけない
人通りが少ないのを良いことに､その車は慌ただしく走り去っていく
既に喉が潰されたのか､声は出なかった
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セイ - 最近は土日も仕事があって更新が遅くなりました...心のこもったコメント凄く励みになります！本当にありがとうございます！ (2020年7月19日 23時) (
レス) id: 8e72f4c5b9 (このIDを非表示/違反報告)
まめ - 毎日毎日楽しみながら読んでます！更新頑張ってください！とっても面白いです (2020年7月17日 7時) (レス) id: 28d482e202 (このIDを非表示/違反報告)
セイ - ちょっと古いですけどDetroit Become Humanですかねー (2020年6月28日 23時) (レス) id: 8e72f4c5b9 (このIDを非表示/違反報告)
ロビン - ps4持ってるんですねっ！！私も持ってます！ちなみにオススメのソフトってなんですか？？？ (2020年6月12日 1時) (レス) id: 955356ab25 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：セイ | 作成日時：2020年5月29日 3時
