虚無感 ページ30
その日の夜
私はエルニア皇女様からのお呼び出しを受け､散々罵倒された
どうもあの人は苦手だ
同い年なのだが､妙に大人びていて社会の影の部分を見すぎているんだろう
私は辞めさせられるのではないかと内心ゾッとしながらイヴの部屋へと入った
「姉様はなんだって？」
「大したことじゃないですよ」
私は風呂上がりで少し湿気ったイヴの髪を梳いていた
綺麗な髪
羨ましいくらいだ
「はい 終わりましたよ」
「…」
…？何故か不満そうだ
いつも通りのはずなのだが…
「それ､どうにかならないのか？」
「それ…？なんのことですか？」
この人の言葉は主語がない為､何を言いたいのか全く分からない
「それだよそれ！その話し方！」
敬語のことだろうか
間違ってはいないはず…ってまさか
「…タメ口で話せと？」
「うむ！」
いや…流石にそれは…
周りの目が…
私はそう言おうとしたが､キラキラと青い目を輝かせて催促するように見つめてくる
…言っても無駄だろう
「…分かったわ これでいいかしら？」
「んふふ…！」
イヴは満足げに大きな天蓋付きのベッドへダイブ
「ちょっと ホコリが舞うんだけど」
「構わぬ構わぬ！」
イヴはクッションを抱いてゴロゴロと転がり回る
まるで子供のようだ
ふふっと何故か笑みが零れる
私はイヴの机の上にあるランプの火を消した
「今日は私と一緒に寝るのだ！」
「…はいはい」
イヴはかなり気分が良いようで､普段なら「我」という一人称が「私」になっている
私は嬉しいような呆れたような､そんな気持ちでイヴの布団を整えた後､イヴの隣で横になった
「久しぶりなのだ こんなにも楽しい夜は！」
「…そうなの？」
普段から笑って大はしゃぎしているのに
いつもの日々はイヴにとってつまらないようだ
…聞いた話によると､元平民だとか
それなら礼儀作法がなっていないのは納得できるな
有り余っている元気さは､母親を失った悲しみを紛らわしているのだ
…この気持ちはなんだろう
同情しているのか？
何故か､こんなにも胸が苦しい
「…なぁ シルク」
「…？どうしたの？」
私とは反対の方を向いていたイヴがフッと此方に寝返りを打つ
私はそのイヴの顔を見て､サァッと血の気が引くような気がした
何故か震えが止まらなくなる
笑っているはずなのに､イヴの目は虚ろで感情のない虚無の表情
目の前のイヴは､私の知る過去のイヴではなかった
「…どうして私を置いて逃げたのだ？」
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セイ - 最近は土日も仕事があって更新が遅くなりました...心のこもったコメント凄く励みになります！本当にありがとうございます！ (2020年7月19日 23時) (
レス) id: 8e72f4c5b9 (このIDを非表示/違反報告)
まめ - 毎日毎日楽しみながら読んでます！更新頑張ってください！とっても面白いです (2020年7月17日 7時) (レス) id: 28d482e202 (このIDを非表示/違反報告)
セイ - ちょっと古いですけどDetroit Become Humanですかねー (2020年6月28日 23時) (レス) id: 8e72f4c5b9 (このIDを非表示/違反報告)
ロビン - ps4持ってるんですねっ！！私も持ってます！ちなみにオススメのソフトってなんですか？？？ (2020年6月12日 1時) (レス) id: 955356ab25 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：セイ | 作成日時：2020年5月29日 3時
