自決の時 ページ21
「お願い､イヴ 私は貴方を殺したくなんてないの
私と一緒に来てくれれば…何でも買ってあげるし､何でもしてあげる こんな狭い鳥籠の中なんて嫌でしょう？私が貴方を自由にさせてあげるわ…」
私は諭すようにイヴに告げた
イヴは笑顔を崩さずに出窓に美しく座っている
「…姉上にとっての自由はそんなモノなのか？」
…？
この子は何を言っているのだろう
自由とは…それ以外に何があるというのだ
「我にとっての自由は…好きな時に遊び､好きな時に笑い､好きな時に…大切な人と過ごすことだ…」
イヴの声が段々と､か細くなっている気がする
ケホッケホッ､と偶に小さく咳き込んでいた
「───まさか」
私は慌ててイヴの持っていた銀のカップを覗き込んだ
内側が一部変色している
「自ら…毒を…」
私のその言葉に､周りの兵達がザワザワと､どよめきだした
何故だ
誰だって降伏して生き延びたいと願うはず
ましてや私が直々に迎えに来たというのに…！
「イヴ…！！」
私は涙を目に浮かべながら顔を上げて､イヴに目を向けた
「ッ…！」
イヴは…
出窓の壁に身をあずけるようにして眠っていた
永遠に覚めない夢の中で
幸せそうに微笑みながら
「…そうか」
最期まで､皇族としてのプライドを持っていた
編み込まれた金の髪は､何故か生気を失ったような気がする
私はイヴの目の前まで歩き､イヴの髪を自慢の細剣で切り落とした
フワリと纏められていた髪が柔らかく頬に当たっている
「フフっ…フフフ…」
その金の髪を見ていると､何故か笑いが止まらなくなっていた
「アハハハハハッ！！」
「皇女様…！」
「ご乱心なされた…」
何を言っているのだ
私は至って冷静だ
やっと気がついたんだ
それが嬉しくて仕方がない
「これが…！これが私が望んたモノだったんだ…！」
私の足元からパキッ…と高い音がした
私にとっての最上級魔法「無限氷結」
何があっても､この氷を壊すことはできない
その氷は生きているかのように成長する
ゆっくりと氷はイヴを包み､そして部屋全てを覆っていく
「皇…皇女様…？！」
「これは一体…」
怯えたように部屋を飛び出していく兵達
あぁ､愛しい我が妹
この氷に包まれている間は永遠に
…私のモノだ
イヴ・ステラ 16歳 自裁
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セイ - 最近は土日も仕事があって更新が遅くなりました...心のこもったコメント凄く励みになります！本当にありがとうございます！ (2020年7月19日 23時) (
レス) id: 8e72f4c5b9 (このIDを非表示/違反報告)
まめ - 毎日毎日楽しみながら読んでます！更新頑張ってください！とっても面白いです (2020年7月17日 7時) (レス) id: 28d482e202 (このIDを非表示/違反報告)
セイ - ちょっと古いですけどDetroit Become Humanですかねー (2020年6月28日 23時) (レス) id: 8e72f4c5b9 (このIDを非表示/違反報告)
ロビン - ps4持ってるんですねっ！！私も持ってます！ちなみにオススメのソフトってなんですか？？？ (2020年6月12日 1時) (レス) id: 955356ab25 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：セイ | 作成日時：2020年5月29日 3時
