紅い蝶 ページ20
…そんな過去の記憶が頭の中に浮かんだ
私の邪魔はさせない
欲しいモノはなんでも手に入れる
それがどんなに卑劣な行為でも構わない
「…様 エルニア皇女様！」
その時になって､やっと私は声をかけられていることに気がついた
「あ､あぁどうした」
「申し訳ございません 実は亜人共が1匹も集落にいないんですよ」
サッサと勘づいて逃げ出したか
イヴもその中に？
…いや
私はイヴが住んでいるであろう城の門を潜って手入れの行き届いた庭園に入った
その花々には目もくれず､私は城を見上げた
城の最上階であろう突き出した窓に､人影が見えた
「…フフっ」
思った通りやはりいた
あの子が私を置いて逃げ出すわけがない
「亜人共は放っておけ イヴがまだここにいる」
「…何故お分かりに？」
なんとも簡単なことを聞く犬だ
「それは勿論…私がイヴを愛しているからだな」
当然のことを言ったつもりだったが私に群がる奴らは曖昧な表情で黙りこくる
「…まぁいい 生け捕りにしろ 殺したらその時は…どうなるか分かっているな？」
「「御意！」」
私は兵を連れて城へと乗り込んだ
バンッ
勢いよく開かれる扉
その部屋には､優雅に寛ぐ私のイヴがいた
アンティーク調の椅子に座って紅茶を飲んでいる
窓から差し込む光がイヴの金の髪を更に美しく彩っていた
「…やぁ 姉上 お久しぶり､だな」
この大勢の兵を前にしても動じないその姿勢
ゾクゾクする
「イヴ…私は貴方を迎えに来たの …さぁ､私と一緒に帰りましょう？」
「…」
イヴはニコリと微笑んでみせる
あぁ…可愛い…！
「…我は国に戻ると…人間の扱いをされず､死ぬまで実験体として生きることになるのだろう？…全ては真の竜魔人(ドラゴノイド)である"魔王ミリム・ナーヴァ"を討ち滅ぼすために…」
そう言ってイヴは紅茶を飲み干すと､目の前の机に銀のカップを置いてゆっくりと立ち上がった
「動くな！動くと…」
「黙れ」
私はキャンキャンと煩く吠えた犬を一蹴
今はこのイヴの姿を目に焼き付けたい
イヴは美しく舞う蝶のように真っ赤なドレスとリボンを揺らしながら出窓に座った
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 82人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
セイ - 最近は土日も仕事があって更新が遅くなりました...心のこもったコメント凄く励みになります！本当にありがとうございます！ (2020年7月19日 23時) (
レス) id: 8e72f4c5b9 (このIDを非表示/違反報告)
まめ - 毎日毎日楽しみながら読んでます！更新頑張ってください！とっても面白いです (2020年7月17日 7時) (レス) id: 28d482e202 (このIDを非表示/違反報告)
セイ - ちょっと古いですけどDetroit Become Humanですかねー (2020年6月28日 23時) (レス) id: 8e72f4c5b9 (このIDを非表示/違反報告)
ロビン - ps4持ってるんですねっ！！私も持ってます！ちなみにオススメのソフトってなんですか？？？ (2020年6月12日 1時) (レス) id: 955356ab25 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：セイ | 作成日時：2020年5月29日 3時
