分かれ道 ページ43
〜ジャンヌside〜
暗闇
どこを向いても光はない
覚えのある感覚
後ろから､風が吹いた気がした
振り返ると､人に擬態したリムルが目を閉じて座っている
あぁ､これは夢だ
瞬時に理解した
先程､疲れて眠ってしまった
しかし夢の中で此奴を見るのは初めてだ
俺はリムルに近づき､顔を覗き込んだ
＜今､このスライムを殺せば···＞
頭の中に声が響いた
毎度毎度､夢の中で聞こえる声
「···よぉ､デスティア」
＜おや､珍しいですねぇ 呼び掛けに反応するなんて＞
「囀るな お前はもう死んだ ここは俺の記憶だ」
＜貴方が勝手に夢を見ているだけですよ＞
腹の立つ声
「それより､どういうこった？何故俺がリムルを殺さないといけねぇんだ」
＜それは貴方が1番よく理解しているはずです＞
煽るように響く声
その声は俺の頭の中に収まらず､この世界に響き渡った
＜貴方が愛しいと思っている人は､このスライムを愛しています ···どういう事かはもう分かりますね？＞
「はぁ？俺がリムルを殺したいとでも？
巫山戯んのも大概にしろよ」
＜ここは貴方の夢です 貴方が心の奥底で「このスライムを殺したい」と思っている証拠ですよ＞
言い返せない
俺はリムルを見た
最近､此奴を見ていると嫌な感情が沸々と湧いてくる
この感情を､なんというか俺が一番よく知っている
"嫉妬"
彼奴が···Aが俺を､1人の異性として見るわけがないんだ
「···あぁ､そうだな
俺は此奴を殺したいよ」
＜ならば···！＞
嬉嬉として声のトーンを上げるデスティア
少々苛立ったが､そんな事は特に気にならなかった
「でもな､此奴は俺と蒼の繋がりを断ち切ってくれた 命の恩人でもある ···それに､俺が此奴を殺すような事になれば···Aの精神は確実に壊れてしまう」
···それだけは､絶対に嫌だ
＜···あぁ､くだらない 何奴も此奴も､仲良しごっこの糞ガキ共だ···＞
デスティアの声が遠ざかると同時に､目の前にいたリムルも砂のようになって消えてしまった
消える直前､リムルは薄らと目を開いて嘲笑うような顔をした
···もし俺が今､リムルを殺すという事を選択していたら
···いや､唯の夢だ
これ以上考えるのはよそう
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千尾(プロフ) - 最初から読みたいんですけどどこに行けばいいでしょうか？ (2021年3月18日 3時) (
レス) id: 0b1187e4b4 (このIDを非表示/違反報告)
セイ - ありがとうございます！ものすごく励みになるコメントめちゃくちゃ嬉しいです！ (2020年2月8日 1時) (レス) id: bc72cc58ab (このIDを非表示/違反報告)
藍羽 - 頑張ってください！楽しく読ませてもらってます、応援してます。 (2020年2月5日 0時) (レス) id: 779fc880ba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：セイ | 作成日時：2020年1月26日 2時
