期待からの落胆 ページ38
「リムル様と2人きりでお出かけですか···」
シュナが寝癖でグシャグシャになった私の赤い髪をとかしながら､羨ましそうに呟いた
···シオンに知られたら恐ろしい事になりそう
私は軽く苦笑いをした
『シュナはリムルの事好きだもんね』
「···はい」
シュナは頬を赤く染めて恥ずかしそうに言った
完全に恋する乙女の顔だ
「終わりましたよ」
『ありがとう
···わ､すごい サラサラになってる』
シュナは裾で口元を隠して笑った
そしてすぐに真剣な顔つきで私に向き直る
「あの､少々お願いがあるのですが···」
『ん？』
シュナは私にコソコソと耳打ちをした
その「お願い」はシュナらしいと言えばシュナらしいお願いだ
『うーん···出来るか分からないけど､一応善処してみるよ』
「ありがとうございます」
私は正面玄関で待たせているリムルの元へ向かった
「お､来たか」
『ごめんね 待たせちゃって』
リムルは「いーよ､俺がいきなり誘ったんだし」と言いながら外に出た
私はリムルの後ろをついて歩く
「あ！見て､リムル様よ!!」
「今日も神々しい···」
「ね､ご挨拶して行かない？」
街には活気が戻った
先日のような悲壮感はなく､皆笑っている
«なぁ»
ん､どうしたの？
«時間軸の演算､今丁度終わったぞ»
ほんと?!
«俺は疲れた 寝る»
無愛想に断言するジャンヌ
ジャンヌのお陰で意外と早くに目的が果たせそうだ
《告:ユニークスキル「渡来者(コエルモノ)」の展開準備を開始します》
頭の中に機械音が響く
アラル先生も仕事が早い
今日中に「あの時」に行けるかもしれないな
任せっきりって感じが凄いけど
「A､こっちこっち!!」
リムルが軽く手を振りながら狭い路地裏へと入っていく
『あ､待ってよ!』
私もリムルを追って中に入った
慣れた様子で路地裏を進むリムル
『そういえば､なんでベニマルやシュナじゃなくて私となの？』
ちょっとした疑問だ
普段よく一緒に行動している人ではなく､何故私を···
「俺はAと来たかったんだよ」
振り返らずにそう言うリムル
私はその言葉に頬が熱くなるのを感じた
それって､どう云う···？
「さ､着いたぞ」
私は頬が赤い事をバレないように店の看板を見上げる
その店の看板を見て､私は物凄く落胆したのだった
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千尾(プロフ) - 最初から読みたいんですけどどこに行けばいいでしょうか？ (2021年3月18日 3時) (
レス) id: 0b1187e4b4 (このIDを非表示/違反報告)
セイ - ありがとうございます！ものすごく励みになるコメントめちゃくちゃ嬉しいです！ (2020年2月8日 1時) (レス) id: bc72cc58ab (このIDを非表示/違反報告)
藍羽 - 頑張ってください！楽しく読ませてもらってます、応援してます。 (2020年2月5日 0時) (レス) id: 779fc880ba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：セイ | 作成日時：2020年1月26日 2時
