【文スト】境界の栞 Ⅵ【太宰治】 (ページ37)

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261葉ページ37

「敵はもう消滅した。もう休め、中也」

「……ゲホッ、ゲホッ……この…糞太宰……終わったらすぐ……止めろっての……ゲホッ」

「もう少し早く止められたけど、面白くて見てた」

「ッチ……手前を信用して……『汚濁』を使ったんだ……ちゃんと俺を拠点まで……送り届けろよ……」

「任せなよ、相棒」

全く、あの2人のコンビネーションには敵わないなあ……流石だわ、うん……
そんな事を思いつつナイフを離す。スタインベックが喉をさすりながらボヤいた。

「信じられない……あのラヴクラフトが……君達は一体」

その言葉に私と治で顔を見合わせて笑う。

「『悪い奴の敵さ』」

『あれ、中也さーん？この人立ったまま寝てね？器用かよ……』

「腐っても重力遣いだねえ」

治が肩に触れると異能の光が漏れて、グラッと中也の体が傾く。慌てて肩を支えつつ地面に横たえた。

『おーっととととと！？酷くない治！？てか重い！』

「別に近くに転がしておけばいいじゃないか」

『容赦なーい……あ、そうだ』

「どうかしたの？」

ふふ、ふふふふふ……恩を仇で返す様だけど、いいこと思いついた……

『普通ここまでの怪我なら、中也五日から一週間はダウンするじゃないすか太宰さん？』

「ほうほう？それがどうかしたのだね？」

治はもう勘づいたのかニヤニヤと笑っている。

『中也を与謝野先生に治療してもらえばいいかなあと思ってさ！』

「ナイスアイディアだねA！全く持って素晴らしいアイディアだよ！」

「『よし、探偵社に連れて行こう』」

中也、強く生きろ←

『しもしも？与謝野先生？』

｛随分ハイカラな電話だねェ。何かあったのかい？｝

『共闘して張っ倒したんだけど知り合いのマフィア幹部が重症でして。治療お願いできます？フルコースで』

「任せな(即答)」

『なら連れてきまーす。多分激しく暴れるんで象とか拘束できるようなのがいいと思いますよはい』

｛判った。楽しみにしとくよ｝

通話を終了してニンマリと治の方を向く。

『交渉成立』

「よーし、行こう」