【文スト】境界の栞 Ⅵ【太宰治】 (ページ35)

今日:4 hit、昨日:0 hit、合計:29,150 hit

259葉ページ35

「俺の異能は触れたモノの重力を操作する。其の侭朝までへばりついてな」

「お見事」

「ったく……人を牧羊犬みてぇに顎で使いやがって」

「牧羊犬が居たら使うのだけど、居ないから中也で代用するしかなくてね。今回の相手はAじゃ分が悪いし」

『お役に立てず申し訳無い……完全なる空気……』

「お前は此奴の手網引いてればそれで十分役に立ってる」

『ありがと……』

そんな会話ですっかり忘れていた。───この話には、まだ続きがある事を。

「眠い……面倒臭い……だが……フィッツジェラルド君(・・・・・・・・・・)との契約は果たさねば…」

刹那。気付いた時には、治の腕が持っていかれていた。

「～～～～～ッ！！」

『っ……！！』

今度は私が標的なのか、続け様に放たれる攻撃に凄まじい衝撃を感じたかと思うと、次の瞬間私は数十メートル先の木に叩きつけられていた。

『が……ッ』

「Aッ！！」

あ、やっばいコレ……何本か骨やったかも知れない……

「大丈夫か！？」

『ゴホッ、ゴッホゴホッ……』

血を吐きつつも、治に支えてもらって何とか立ち上がる。

『痛ったあ……』

「無茶したら駄目だよ……君女の子でしょ」

『まあね……腕は？』

「仕込んであったから問題ない」

「んであの悪夢どうすんだ？」

見えるのは明らかな異形。SAN値チェック不可避だこれ……。

『＼(・ω・＼)SAN値!(/・ω・)/ピンチ!』

「いやぁ無理無理、諦めて死のう！もう残った手は「一つしか無い」しね！」

「一つって……『汚濁』をやる気か？」

汚濁。治も滅多に指示を出さないその技は───

「私達二人が“双黒”なんて呼ばれ始めたのは『汚濁』を使い一晩で敵組織を建物ごと壊滅させた日からだ、ただし。
私の援護(サポート)が遅れれば中也が死ぬ。選択は任せるよ」

「…選択は任せるだと？手前がそれを云う時はなァ…何時だって他に選択肢なんか無えんだよ！
後で覚えとけこの陰湿男！」

ぷりぷりしながらラヴクラフトの方へと向かって行く中也に治が投げかけた。

「頑張れ単純男」

「女の敵！」

『双黒(小)…(ﾎﾞｿｯ』

「誰が(小)だ！聞こえてんぞA！！」

『わー怖ーい(棒)』

ふふっ、と笑いながら下がっていく。

『治なりに気、使ってたんでしょ？』

「……何の事？」

『ふふ……ま、いっか』

矢っ張りツンデr

「違うよ？」

『テレパスィー……』