【文スト】境界の栞 Ⅵ【太宰治】 (ページ4)

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227葉ページ4

『そんじゃ私は偵察に行ってきまーす』

「何処に行くの？今は特に何も無いと思うけれど……」

『組合の拠点に盛大な花火が上がるみたいだから様子を見に行くよ』

「嗚呼───くれぐれも気をつけてね」

『うん、大丈夫。遠見するだけだし首は突っ込まないよ』

「……？？？」

《港》
「潮風が───胸に毒だ。手早く済ませよう」

「マフィアの……刺客ですか」

丁度芥川君とホーソーンが対峙している所だった。私はギリギリ気づかれないところに陣取り観戦をすることにする。どうやら油断している所に奇襲を仕掛けたらしく、あの牧師殿以外は即死か戦闘不能といったところだ。

『ふーん……中々に強くなってるねえ』

船上でも思ったけど、異能力の扱い方に無駄がなくなっている。四年間努力し続けたんだろうな……。

「気分は如何だ。組合の伊留満」

「最悪です……悪魔(ディアボロ)にでも遭ったような気分だ。名を、聞きましょうか」

「悪魔(ディアボロ)」

「───くく……ならばここはヘルモン山。貴方は神の下僕たる私を試す試練(エクサミネ)ですか？」

ヘルモンザン……？ホルモンなら食べるぞ……？

｛……実在する山です｝

自分の異能に呆れられるってなんか悲しいね、うん。

「試練を望むか？ならば此を与えよう」

素早く展開された羅生門をホーソーンが緋文字の壁で防ぐ。

「！」

「私を助修士(イルマン)と呼ぶな。私は牧師(ミニスター)。ローマの遺物とは違う。───その程度で私の信仰を閲するな、クズめ」

oh……ブラック牧師……ホーソーンもまた自らが貫かれた際に出た血を操って戦う心算の様だ。

「悔い改めよ、ポートマフィアの小男(リトルガイ)」

「面白い」

同じタイプの物理中距離異能の激突。こういった場合は───異能の扱いに優れた方が勝つ。

『ま……私と治が直々に鍛えたんだし負けはしないだろうけどね』

「〈羅生門〉！」

「〈緋文字〉！」

芥川君の黒獣、ブラック牧師の障壁が激突し───黒獣がそれを喰い破った。そのまま牧師の脚を喰らう。

「ぐ……！」

「その程度か伊留満？全力を以て僕に挑め。でなければ、刺客に立候補した甲斐が無い」

「全力など必要ありません。勝負など、最初から付いています……！」

羅生門を介して外套に付いていた血液が緋文字として芥川君の動きを封じた。それには流石の芥川君も驚いた様だ。