【文スト】境界の栞 Ⅵ【太宰治】 (ページ27)

今日:5 hit、昨日:16 hit、合計:29,167 hit

251葉ページ27

「はあ〜～～～～～、遣る気出ない……」

「朝から壊れた喇叭の様な声を出すな太宰」

「私は今ねえ、誰かと対話する気力もないのだよ。国……なんとか君」

「不燃ごみの日に出すぞ貴様……」

「あぁ……食事も面倒臭い。呼吸でお腹が膨れたらいいのに……」

『それなら貧民街は廃れるよねうん』

そう云いつつ置いてあったバナナの皮を剥いてポイっと渡す。

「バナナの皮剥きすら面倒なら餓死してしまえ」

『まあいいじゃない。仕方ないよねー』

「お前と敦、Aの連携で街は壊滅を免れた！その翌日に何故そうなる！？」

「それがねぇ……社長からとうとう正式に次の仕事を頼まれちゃって。
あー、古木のように只寝てたい」

「古木なら可燃ごみか」

『違うそうじゃない。要するにその仕事が嫌なんでしょ？』

「そう云えば昨日社長と敦が偉く話し込んで居たが───その件か？」

「そうだ」

後ろから毎度の如く突然社長が現れる。国木田君はピシッと姿勢を整えた。

マフィアの首領との密会の場を持つ件は進んだか」

「手は打っていますが───」

「マフィアの首領は来ると思うか」

『来るんじゃないですかねえ……社長を殺す絶好の機会ですから』

その言葉に社長は思案するように目を閉じるが、そのまま背を向け社長室に戻っていく。

「……構成員同士で延々血を流し合うよりは善い」

パタン、と扉の閉まる音で再起動した国木田君がギギギと信じられないものを見る目で此方を見た。

「…おい、説明しろ。マフィアの首領と…密会だと？」

「そうだよ。敦君の着想から豪く大事になったものだ。幾ら組合が最大の脅威になったとはいえ…」

「待て待て待て！何が何やら……第一何故お前達が密会の手筈を整えている？」

『あれ、そういえば国木田君知らなかったんだっけ……いなかったもんね』

「私達、元マフィアだから。国木田君以外は皆知っているよ？」

「」

治が輝かしい笑顔でそう告げると国木田君が再びフリーズする。まあ無理も無いか。

「国木田君？」

『あれ、倒れちゃった……医務室行って来まーす』

流石に国木田君はおぶれないので、半分引き摺る様にして歩く。済まない国木田くん、私には無理だ……