【文スト】境界の栞 Ⅵ【太宰治】 (ページ26)

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「……よかったの？」

『敦君の方がよっぽど散々な目に遭ってるじゃない。それでも云ってるんだから協力してあげようよ』

「……。」

治がまだ不満そうな顔をしているので、仕方なくぎゅっと抱きつく。

「！」

『治が心配してくれてるのも判る。判ってるよ。大丈夫だから』

「……全く……」

呆れ顔だが大丈夫そうだ。
離れると携帯の最近は追加するのみで全く開いていない電話番号のリストを辿っていく。

「誰に掛けるの？」

『樋口さん、芥川君経由で森さんかなー……』

「それよりも姐さんに頼んだ方がいいんじゃないのかい？」

『一応ね』

嘘です。あの後樋口さん大丈夫か聞きたかっただけです。

『……もしもし？』

｛樋口です。どうかしましたか？｝

『御免ね突然。一寸芥川君に取り次いでもらいたいんだけど……いいかな？』

｛あ、はい！少し待ってください｝

芥川君いたんだ。任務で居なければ樋口さんに伝言してもらおうかと思ったけど……まあいいや。

｛はい、芥川です｝

『久しぶり芥川君。話があって掛けたんだけど、時間大丈夫？』

｛はい、大丈夫です｝

『実は今度、今度探偵社とマフィアで対組合の合同戦線を組みたいと思ってる』

｛合同……！？｝

『もしかしたらそれについての連絡を使いに持って行ってもらうかもしれないから宜しく伝えといて』

｛……判りました｝

流石に驚いている様子。だが誰に、と云わずとも察してくれる辺りまだ大丈夫そうだ。

『今日はそれだけ。……また(・・)無理したら説教だからね？』

｛……。｝

何故バレた、といった動揺が此方まで伝わってきて思わず笑ってしまう。

『それじゃあね〜』

追及される前に通話を終える。ま、一先ずこれで大丈夫だろう。