【文スト】境界の栞 Ⅵ【太宰治】 (ページ24)

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248葉ページ24

『〈全てを識る者〉、上空から落下してる敦君を捉えて位置情報を表示して』

｛告。発見しました｝

手刀で殲滅するのが面倒になってきた私はしまい込んでいたスタンガンを使いつつインカムをオンにする。直ぐに応答があった。

｛掴めた？｝

『Bの41、地下街入口に十分後』

｛無理しないでね｝

スタンガンを二つ取り出して詛いに掛かった人間を薙ぎ倒して行く。ふと駆け寄ってきた人影に気がついた。

「大丈夫ですか、中也さんに云われて応援に───って、貴女は！」

『おういいとこに来たね樋口さんこれ使って！私十分後待ち合わせだから此処は任せた！』

「え！？」

無理ない人数にまで減らして樋口さんにスタンガンを投げ渡すと、私は待ち合わせ場所へ向かう。
白鯨からの銃撃が私にも向くが、本命は敦君なのかそこまでの精度でもない。走って避けて、避けきれないものはスキマで受け流した。

『……疲れた……ッ！』

インドア派の限界点が来たようだ。
正直銃撃の雨避けながら走り続けるのめっちゃしんどいんだよね……

「待て、クソ探偵社！！！って、お前に云ったんじゃ無えよ！」

あれ、立原君だー！揶揄うしかないねこの状況！

『やっほー立原君こんな中子守り！？おめでと！！』

「なっ、アンタ裏切り者の……！」

『生憎御祝儀持ってないや！御免ね！！』

「つーか違ェそうじゃねえ！！」

そう叫ぶ立原君をスルーしてぴゃーっと走る。

『ここから燃料輸送車までは…！？』

｛約30秒です｝

『10秒で行くよ！！』

｛補助を発動します｝

アシストで一気に速度を上げる。目の前には輸送車に突っ込みかける敦君が───

「燃料輸送車！？」

『敦君！！』

滑り込んでスキマで離れた場所に転がり込む。盛大な爆発と共に爆風がここまで届いた。

「Aさん……！？」

『怪我は無いみたいだね……よかった』

「如何して……！それに上空には」

『らしいよ？治』

「一寸、地下街で待ち合わせじゃないのかい？」

『危ないところだったからー、っと』

合流したのを狙った銃撃を受け流す。

「おっと、急いだ方がいいね」

治がスイッチを押すと、町中に飽和チャフが撒かれる。小走りで地下街に向かった。

「これは……」

『チャフ。散る前に地下に隠れよ』