【文スト】境界の栞 Ⅵ【太宰治】 (ページ23)

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247葉ページ23

《一週間後》
『終わったよー』

「お疲れ様」

ポーっと空を眺める治の横に並ぶ。

『一見平和なんだけどねえ。というか腕、どうしたの？』

「うふふ、川を流れてたら怪我した」

『えぇ……？』

突っ込みはしないけど。一々突っ込んでたらキリがないし───

「おいお前ら」

『おー国木田君私達はれっきとした、仕事中……』

『……此奴の意味を教えろ」

国木田君の首元にあったのは、くっきりとした手形の痣。間違いない。

『九作君の、詛い……』

「始まってしまった様だね。国木田君、此方に来給え」

「始まった？何の話だ」

『……精神操作の異能に掛かってる。未だ発動してないけど、此の儘じゃ前話した敦君みたいな事になるよ』

「解除の術は？」

『敦君と一緒に空の上！待つしかない。てことで敦君が戻って来るまで簀巻きの刑ね』

「簀巻き……？」

《探偵社事務室》
『これでよし、と』

「……ここまでやるか？」

そういう国木田君は文字通り鎖で簀巻きだ。ガッチガチに固められているので多分脱出は出来ない。

「拘束が不十分で抜け出されたら手がつけられなくなるからね」

『苦しいだろうけど頑張って。私は外見てくるね』

《大通り》
「箕浦さん！前！！」

「───！！」

潰されそうになるトラックを何とかブロックする。二人とも無事な様だ。

『大丈夫ですか！？』

「あんたは……！」

『探偵社員……ですっ！』

結界に阻まれていたトラックが盛大に音を立てて落下する。手をはたいて一息つくと振り向いた。

『至急避難指示を。それと……樹木を踏んだりしない様に。詛いが発動してこんな風になりますよ、っと』

私は相変わらず車に貼り付く人を手刀で気絶させる。

『もうすぐ無効化することが出来ます。それまで持ち堪えてください』

「……嗚呼、判った」

答えを確認し走り出す。目指すのは───

「交通網を死守しろ、襲ってくる奴は撃て！
此の侭だとうちが商売する場所まで灰になっちまう！首領の指示だ、死ぬ気で守れ！！」

『中也！』

マフィアだ。懲りてないと云われればその通りだけど、今は情報が欲しい。

「何で手前が……！」

『足りてないのは！？指示！』

「……南側がギリギリだ！頼む！」

すぐスキマで南側まで飛ぶ。言葉通り人員が足りていないのか、それはそれは惨憺たる有様だった。