あの舞台を、もう一度。

・_翔平side_ ページ5

翔平(陣平)side



一瞬、なにが起こっているのかわからなく
なった。目の前には赤黒い血を流したAと
銃を向けてこっちを見据えるバーボン____
ゼロがいた。

なんでよりによってお前なんだ。
お前になんか勝てる訳ねーじゃねーか。



幸「翔平！…と…え？」



駆けつけてきた萩原は今の状況を見て
絶句している。



「…幸二、Aを連れて逃げろ。
こいつの相手は俺がする。」


幸「……でも！」


「いいから行け！」


幸「………っ！」



俺の怒鳴り声に肩をびくつかせた萩原は
倒れているAを姫抱きにし、
車の停めてある方へと走っていった。



「随分と余裕じゃねーかよ。
逃げちまうぞ？撃たなくてよかったのか？」


バ「……撃ちますよ！貴方を倒した後でね…！」



嘘つけ。撃てなかったんだろう。
組織の一員だが、本来は警察。
正義感の強いお前が、何故撃てなかったか
なんて俺が分からないとでも思っているのか？



「……………」


バ「なんです、そんなに見つめて。
銃も持たないでどうやって勝とうって
言うんですか？」


「……焦りは最大のトラップだ。
後ろに注意しろ、バーボン。」


バ「な…っ？！」



バーボンが振り返る。
その後ろには泣きそうな顔で立っている
景光がいた。手にはスタンガンを持っている。



光「………少し、眠ってくれ。」



眩しい光が辺りにフラッシュし、
ゼロが崩れ落ちる。



「光…………………。」


景「ごめんな、ゼロ…。」



消え入りそうな顔でそう呟いた景光は
俺の方に歩いてくる。



「大丈夫か？」


景「…いいや。こんなにも辛いとは
思ってなかった。」


「……そうか。」



そのあと俺と景光の間に会話はなく、
ただひたすらと車の方へ足を進めた。

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