あの舞台を、もう一度。

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『……っくし』


陣「風邪か？」


『…花粉だよ。はー…辛い。』



鼻をかみながらそういえば
ターゲットの社長も花粉症なんだよなぁ
とか思いつつ読んでいたウィリアムの日記に
目を落とす。


私たちが殺ったのだと疑われぬような
完璧な犯罪。

それを考えに考えてもう３日がたっている。

ウィリアムは心臓病の伯爵にグレープフルーツを食べさせて、自然な形の死を作った。
同じようなことが、私にできるだろうか？


それにターゲットの社長は只の花粉症というこの世にはありあふれた病を持つだけだ。



『へ…っくし！あーもう。イラつく。薬飲も。』



棚から花粉症の薬の箱を取り出した瞬間、
くしゃみが出そうな感覚になった。
あの、よくあるあれである。
くしゃみが出そうで出ないってやつ。



『…っくし！！』



恐らく今日最大のくしゃみが出た。
手から力が抜け、手に持っていた薬の箱が
床に落ちる。

かがみこんで、箱を拾おうとしたとき、
裏面の注意書きが目に入る。



『…………いいこと思い付いた。』


薬の箱を拾い上げ、机の上に置く。
そのまま自室へと直行した。



陣「は？…っておい！薬飲まねぇのか？！」


っていう声は聞こえなかった。
……ことにした。

終わり←・

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