アンソロジー (ページ2)

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タバコ(真島吾朗) ページ2

真島視点

家に帰ると電気は着いているがいつも玄関まで顔を出して迎えてくれるAが居ない。

どこにいるんやと思いながらトイレ、風呂場、リビング、寝室、キッチンと全て見るが居ない。
ついに俺に愛想つかしてもうて出ていったかとも思った。でもあのAのことだ、きっと最後まで電気代がとかゆーて電気は消していくやろう。

｢帰ったでぇ〜｣

アピールするも誰も来ず、ソファに座り居そうなとこを考える。

すると

カーテンが揺れた。もしかしたらと思いベランダに出る。

案の定、彼女であるAは居た

｢こんなとこにおったんかい。寒いやろ｣

『あっ、おかえりなさい。私雪国生まれですよ。まだまだ寒くないです。』

｢何しとるん？｣

聞かなくてもわかる
でも信じられんくて

『たばこを､､､。少しね』

｢俺も吸おうかのぅ｣

『一緒に吸いましょ』

その言葉を聞き、煙草とライターを出す。
ガス切れでライターが付かない

｢ガス切れや｣

1発で付けてかっこいいとこを見せてやろう思っとったのに

『私の着くかな？どうぞ』

｢ん、つかんわ。Aのも付かんわ｣

『んっ、』

背伸びをしてこちらに口にくわえて煙草を向けてくる

｢失礼するで｣

しゃがんでそれに応える

所謂、シガーキス

それよりも気になることがあるんや

キャビンを吸っとるんや。女の子でキャビンなんて渋いやろ。それに普段Aは煙草なんぞ吸わん。

話によれば昔は吸っとった言っとったが、時代と共に高くなっていって辞めたんだとか。

もしかして昔の男が吸っとったやつか？

｢なんでキャビンなんや？｣

『え？なんでだろう。深い理由なんてないよ』

｢そっちやなくてこっち吸い｣

そういい、憶測だけでムカつき、自分が吸っとるハイライトを口に突っ込む

と

『うぇ、まっず』

｢え？｣

『ダサいから言いたくなかったの、キャビンは昔の知り合いが吸ってて嫌いだったんだけど、亡くなってから悪いやつじゃなかったな思って、実は良くしてもらってたから。でキャビンの匂いとかよく嗅いでたからこれだけ吸えるの、それ以外は苦くて辛くてダメなの』

｢びっくりしたわ｣

『ごめんね』

勢いよく『まずい』と口にしたAから煙草を拾うなんてできなくて下に落ちていく

俺はAから奪った煙草も落として、Aの唇にそっとキスを落とす