しるし:1 ページ7
この時期のフローリングは冷えきっていて。
座り込んでぺたりと触れている部分からは、どんどん体温が奪われていくようだった。
それとは正反対に胸の辺りは騒がしくて、どくどくといつまでもうるさい。
タカに触れられたことに対してなのか。
それを渉に見られたことに対してなのか。
はっきりとはしない感情はいつまでたってもそのままで。
寝よう、眠ってしまおう。
立ち上がってベッドに向かった。
シーツに体を預けても、そこもまた冷たかった。
ついこの間までは、部屋に泊まりにきたってひとりで布団を敷いて寝ていたのに。
ベッドで渉とふたりで並んで眠るのが、いつの間にわたしの中で“ いつものこと ”になっていたんだろう。
冷たさに包まれるこのベッドでは、一向に眠れそうもない。
じわじわと麻痺して体温とまじりあっても、最初に肌に触れた冷たさがいつまでも離れない。
早く来て…
ー…。
ガチャッとドアが開いて、求めていた人影がそこに現れる。
反射的に振り返ってから、見られたくなかった光景を見られてしまった後だったことに気づいた。
思わず不自然に体の向きをもとに戻したが、ベッドに真っ直ぐに向かってきていた渉がわたしの肩をぐいっと引いて、強引に仰向けにさせる。
『ニカの頭、ぶつけたの大丈夫だったの?』
…ずるい。
分かってるんだ。
試してるんだ。
わたしのことを。
「…大丈夫…だった…。」
小さく答えるわたしを、渉はじっと見下ろしている。
次に落とされる言葉に緊張していると、渉はそのままゆっくりと近づいてきてキスをした。
一度落とされたキスはなかなか途切れずに、それどころかどんどんと深まっていく。
ドア一枚隔てた向こうでは、藤ヶ谷くんと…タカが眠っている。
待ってと言いたいのに。
言おうとすればするほどうまく言葉にならずに、それはただただ甘い声と濡れた音だけを部屋に広げてしまう。
「んっ、ん!…はぁ…」
両手首はいつの間にかベッドに押さえつけられて、自由なんてとうに取り上げられている。
そんな自分の状況を、
わたしは心底喜んでいて。
自由を奪われて、
ここにいろって、
どこにもいくなって。
やっとキスが途切れて唇から離れたと思ったら、それはただ場所を変えただけで首もとにゆっくりと下りていく。
わかりやすいこの瞬間が、
わたしは幸せなの……
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まこ(プロフ) - 初めまして!一気に読みました。続きが気になります!またりかさんとの過去話もみたい気がします(*^o^*) (2016年2月17日 20時) (携帯から) (レス) id: c532cef3f9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りく | 作成日時:2015年10月16日 22時