ショートケーキ:3 ページ3
「も、もちろん!」
誕生日。
海。
来年の約束。
深読みしないでいられる人なんているのかな?
わたしは返事をするのに精一杯で、タカと向かい合っていることができずにくるっとテレビに向かった。
タカは…、なんで来年の約束をするんだろう。
斜め後ろにいるタカからの視線が突き刺さっている気がして、わたしは動けなくなってしまった。
「さっ、水もう一杯飲もうかなー。ねぇA、水……」
タカが軽く話し始めたのに急に黙った。
不思議に思って振り向くと、ピタリと制止してこちらを見ている。
「タカ?どうしたの?」
手をタカの顔の前にかざしてヒラヒラさせようとした。
すると、
その手はガシッとタカに掴まれてしまった。
「タカ…?」
俯いてしまったタカの表情はよく見えない。
「どうしたの…?」
顔を覗きこむように伺うと、苦しそうに下唇を噛んでいたような気がした。
でもそれも一瞬しか見えなくて。
そのまままた、タカは動かなくなってしまった。
なんて声をかければいいのかわからずに、わたしは自分の腕を掴んでいるタカの手を眺めていた。
「お水、入れてくるよ…?」
そう言うと、はっとした表情をしてタカが手を離した。
「お願いしていい?」
さっきまでの表情とは違って、今度は困ったように笑っている。
どうしたんだろう。
タカが何を考えているのか、わからない。
キッチンからソファにいるタカを見るとまた難しい顔に戻っていた。
「はい、どうぞ?」
おかわりのお水を渡すと「ありがとう」とお礼を言われて、今度はちびちびと口にふくんでいる。
「…体調悪くはないんだよね?」
もしかして体調悪いの黙ってた訳じゃないよね?と思って聞いてみても、答えはもちろん違っていた。
「それならいいけど…」
あまり冴えない顔をしているタカが心配で、思わず手を伸ばして、その柔らかそうな髪に触れた。
「タカ?なにか困ったことあるんなら、わたしでよかったら相談にのるからね?」
小さく「わかった」と返事をしたのを確認して、よしよしと撫でた。
「俺はこどもじゃねえよ。」
「はいはい、もう18の大人ですもんね〜」
気まぐれに伸ばした手を戻そうとしたら、タカの手がそこに重なった。
「…もう少しだけでいいから、そのまま…」
手を重ねたまま少しだけ目を瞑ったタカは、また静かになってしまった。
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まこ(プロフ) - 初めまして!一気に読みました。続きが気になります!またりかさんとの過去話もみたい気がします(*^o^*) (2016年2月17日 20時) (携帯から) (レス) id: c532cef3f9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りく | 作成日時:2015年10月16日 22時