ショートケーキ:2 ページ2
お風呂からあがると、リビングでは藤ヶ谷くんは布団をかけられて相変わらず熟睡していて、渉とタカがテレビを観ていた。
「渉、お風呂。」
『ん。』
立ち上がった渉と一瞬目が合った時、お風呂に入る前の光景が頭に浮かんで思わず目をそらした。
渉はそのままお風呂に向かってリビングを出ていった。
なんなの、本当にもう…。
ふう…とゆっくり息を吐くと、ソファに小さくなって座っているタカと目があった。
「A、喉乾いたー。」
「はいはーい。なにがいい?」
「水!」
「氷なしでいいの?」
「うん、そうして。」
キッチンでグラスをふたつ並べてお水を注いでいると、ソファにいるタカが話しかけてきた。
「鍋めっちゃうまかったわー。」
「スープすっごくおいしかったよね!」
「この前ミツがさ…あ、同じグループの北山ね。ミツがおいしい鍋が食べたいってお店探してたんだけどさ、俺お店よりもわったーの鍋紹介するわ!」
興奮気味に話すタカがおかしくて、思わず笑ってしまう。
「タカやめてよー、笑わせないで!お水こぼれちゃう…」
なんとかたどり着いてタカにグラスを手渡すと、一気飲みしてはぁー…と息をついていた。
「A、座らないの?」
そう言われて、なんとなくわたしはソファの前の床に座り込んだ。
「ひさしぶりだったね、ゆっくり会ったの。」
タカは、テレビじゃなくてわたしのほうに向き直ってくれた。
「連絡はしてたけどな!」
「そうそう!だからひさしぶりなんだけど、ひさしぶりな気がしないというか…」
「俺は…」
タカは一瞬止まって迷った表情をしたけど、小さく言葉を続けた。
「俺は、会って話したかったよ。」
思わぬところでぽろっと溢されたタカの一言。
そのままの意味で受けとればいいのに、わたしにはタカの表情と相まったその言葉が甘さを含んでいる気がして、返し方に困ってしまった。
「会って話したほうが…楽しいもんね。」
なんとなくうやむやにしてしまった返答に、タカはふはっと笑った。
「ねぇ、Aと夏に行ったあの海さ、この前行ったらめっちゃ寒かった。」
「え!?最近?そりゃ寒いよ…」
「だよね。でもなんか思い立って行っちゃったんだよなー。」
照りつける太陽がじりじり痛かったあの海も、きっと今は冷たい潮風が吹いているはず。
「ねぇ、来年もさ、俺と行ってよ、あの海。」
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まこ(プロフ) - 初めまして!一気に読みました。続きが気になります!またりかさんとの過去話もみたい気がします(*^o^*) (2016年2月17日 20時) (携帯から) (レス) id: c532cef3f9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りく | 作成日時:2015年10月16日 22時