ショートケーキ:1 ページ1
結局ケーキはみんなで少しずつ食べて、わたしは全種類制覇して大満足していた。
お風呂には藤ヶ谷くんが最初に入ってタカが続いて入っていた。
その間に、疲れていたのか藤ヶ谷くんはリビングに敷いた布団に倒れこむなり寝てしまっていた。
「藤ヶ谷くんがこんなに無防備なの、珍しい…。」
『なにそれ。』
「藤ヶ谷くんってさ、隙がない感じしない?」
『完璧ってこと?』
「うーん、自分がこういなくちゃいけないってイメージに忠実って感じ?」
渉は、ははっと笑うと、藤ヶ谷くんを優しく見ていた。
『太輔、本当はこんな感じだよ。Aは俺と似てるってこの前言ってたんだよ、こいつ。だから、Aには気許してるんじゃない?』
わたしが、渉と似てる?
藤ヶ谷くんがそんな風に思ってたなんて、知らなかった。
藤ヶ谷くんは、わたしの知らない渉をいっぱい知ってて。
その上で『わたしと渉が似てる』って思ってるのか…
藤ヶ谷くんの目にわたしは、
渉は、
どんな風に映ってるのかな。
ー…。
タカと入れ替わりにお風呂に向かうと、洗濯機の上には渉がすでに用意してくれていた部屋着が置いてあった。
服を脱ぎかけたその時。
突然ドアが開いて驚いて振り向く。
「わっ、渉!?」
渉は、しっ…と人差し指を唇に寄せてポーズをとると、そのままわたしを抱き締めてきた。
「ちょっと…だめだよ…!」
小声で小さな抵抗をしても、渉の力には敵わなくて振りほどけない。
渉はしばらくそのまま動かずにいて、わたしはなされるがままにされながら小声で話しかけた。
「…お風呂入るね?」
『ん。』
「これじゃ入れないよ?」
『…ん。』
腕の力が少しずつ弱まった瞬間、うなじのあたりに近いところにピリッと刺激が走った。
「んっ…!」
不意打ちな刺激で思わず口から出た声は、後から口を手で覆っても意味はなく、顔がかっと赤くなるのがわかった。
「なっ!なんなの!」
精一杯の音量で絞り出した反撃の声に、渉は満足そうに笑みを浮かべてそのままリビングに戻ってしまった。
首もとに手をやると、まだ渉の唇の感触が残っていて。
耳の奥で響いたキスの音と、
甘い刺激が、
わたしをくらくらとさせる。
すとんとしゃがみこんで、しばらくわたしは渉が出ていったドアを見つめていた。
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まこ(プロフ) - 初めまして!一気に読みました。続きが気になります!またりかさんとの過去話もみたい気がします(*^o^*) (2016年2月17日 20時) (携帯から) (レス) id: c532cef3f9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りく | 作成日時:2015年10月16日 22時