【3年A組】Espoir - 卒業 -

018話 ページ19

他愛もない話をしながら朝食のパンと牛乳を飲食していると

私の体に少しの衝撃があった後、さくらのパンが投げ捨てられた。


水越「許さない……あんたが答えを外さなきゃ蓮は死なずにすんだ」


「あんたのせいで！！」とさくらを殴ろうとする水越さんを私と数名の男子で止める。

さくらと水越さんの間で壁になるように私は立った。

気持ちはわかるけど、ここでさくらに八つ当たりするのは違う。


『水越さん落ち着いて』

水越「なによ……あたし、あんたのことも許さないから」

『どうして？』

水越「あんたがもう少し早く動いていれば蓮は助かったかもしれないのに！！」


言いがかりにも程がある。

私は先生の計画を知っているが、おおまかにしかしらない。

余計なことをしないように要所要所で役割を果たせばいいと思っていた。


しかし、先生の勢い……たとえ演技だとわかっていても

ホントに殺しかねないと思ったから私は動いた。


『水越さんの言い分だと、助けようとしなかったクラスの皆は私以上に許せない対象になると思うけど？

あと、水越さんは何してたの？中尾君が指名されたとき、真っ先に動けばとか、そういう思いはなかった？』

水越「他のクラスで、ぶっきーに気に入られてるからって……偉そうなこと言わないでよ！！」


さっき止めたばかりなのに、次は私に殴りかかっている水越さん。

まさか、また殴りかかるとは思っていなかった私たちは止めるのが遅れ

私に至っては頬を叩かれた。


言い過ぎたかなと思ったけど、人のせいにするのは違うから。

そこだけは分かってほしかった。


事実、あの時あのタイミングでさくらが澪奈の死と向き合えたから。

ただ、タイミングが最悪だっただけ。

彼氏を目の前で殺されてるから、悲しいのも分かるんだけどさ。


茅野「A、頬大丈夫？」

『うん、平気だよ。それより、さくら気に病むことないからね』

茅野「でも、あの時自分勝手な答えを出したのは事実だし……」

『タイミングは最悪だったけど、あの時さくらが澪奈の死と向き合えて友達を守るために感情を表にしっかり出したのは事実だから』

茅野「ありがとう、A」

『はい、これ食べて。私は美術室で絵を描いてくるから』

茅野「じゃあ、遠慮なく……いってらっしゃい」


私は、まだ半分以上残っているパンをさくらに渡し、牛乳だけ持って美術室へ向かった。

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