【3年A組】Espoir - 卒業 -

043話 ページ44

須永「つか、お前らだって十分くせぇよ」

水越「はぁ？なにそれ」

小宮山「はぁ、もういいよ向こうで食べるから」


そう言ってパンと牛乳を持ち、

魚住さんの机に蹴りを入れた小宮山さんに河合さんが絡みに行く。

「うるせぇ」と言い合いを止めようとする男子をよそに

金沢さんに声をかけてもらった魚住さんはというと……


魚住「あいつ……100％私に惚れてるよね」

『ぶーっ！！』

逢沢「あっ、ちょっと藤枝！？俺牛乳臭くなるとこだったじゃん！！」

『ごめんごめん！今拭くねっ』


「見てたでしょ、私のことあんな必死に庇って」という発言に驚き

次は教室の入り口に頭をぶつけた。

若干引き気味の金沢さんに語り掛ける魚住さん。

……須永君、この変なタイミングで恋の矢印ゲットだね。


真壁「そういえば、内通者のことなんだけど、あれが本当なら先生とつながっている生徒がいるってことだよね」

石倉「だったらこの中に、うーらーぎーりーもーのーがいるってことか？」

茅野「なんか、ギスギスしてるね」

兵頭「おい、藤枝ー！お前じゃねぇの？」

『は？』


「確かに先生と仲いいし」「お前を傷つけてもペナルティーだし」とか

「そもそもそんなタイミングよく巻き込まれるか？」とか

好き勝って言ってくれるけど、何も持ってないって見せただろ。

アホかな。

内通者というか共犯者だけどさ。


『何も持ってないって見せたでしょうが、昨日』

宇佐美「まぁまぁ、無理もないよ。極限状態がずっと続いてるんだもん」


この教室の感じは先生も監視カメラで見えているはず。

教室を見渡していると、諏訪さんが甲斐君に話しかけに言ったところで

教室の扉が開いた。

そして、教室の雰囲気とは似つかわしくない声で


柊「おはよーう！！」

『いや、超ハイテンションじゃん！』

柊「藤枝も元気がいいなぁ！はい、きりーつ」


まぁ、そろそろ絵描くモチベーションになってきたから

今日は美術室へ行こうかなと思っているくらいには

元気なのかもしれない。


みんなはバラバラではあるが慣れてきたのか

先生の一言目で起立する。


柊「今日も俺の授業を始める。礼」


私は相変わらず、さくらと瀬尾君の机の間に椅子だけおいて座っているけど

随分スカスカになってきたなぁ……教室。

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