キミの嘘も、寝顔も、明日も。-Ki-【after story】

番外編〜藤ヶ谷さんの恋〜 ページ26

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藤「とりあえずこんだけ？」



松「はい…」












今日必要なものだけをカバンに詰め込んで、また明日改めてまとめに来ることにした。



膨らんだカバンを持ち、再び玄関の扉に手を掛けた俺を伺うようにして見つめる彼女。












藤「やっぱ無理、ってなったらやめてもいいからね」



松「はい…」



藤「平気？」



松「だ、大丈夫です…！」



藤「そ？ならいいけど」













突発的な対策とは言え、俺だって男だし、そんなに深い仲ってわけでもない。



さきちゃんが嫌がる可能性だってある。













藤「ここからそんなに遠くないから、通勤とかもそんな悪くはならないはずだから」



松「あ、はい…」












二人で乗り込んだタクシーが俺のマンションの前に到着して。



ここだよ、って指差したそのマンションを見上げて、小さく声を漏らす彼女に思わず口角が上がった。












藤「そんな広くなくてごめんね」



松「いえっ…！十分広いですっ」



藤「こっちの部屋、好きに使っていいから」



松「え…、でも…」



藤「使ってない部屋だから。大丈夫」



松「…すいません、ありがとうございます」












小さく頭を下げた彼女は、その大きなカバンを持ち上げ部屋に入っていった。



キッチンや脱衣所、風呂場の説明を簡単にして、部屋の合鍵を彼女に渡した。












松「…あの、家賃はこれで足りますか？」











リビングのソファに座った俺にお札を差し出して来る彼女。












藤「へ？家賃？」



松「足らない、ですか…？やっぱり…」



藤「…や、いいよそんなの」



松「だめですっ…こういうことはちゃんと…



藤「いいって、俺が連れてきちゃったもんだから」



松「でもっ…！」







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