君に溺れた恋物語〜K.Otomo〜

#35 ページ35

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最初から期待なんてしてなかった。





昨日見たかーくんは幻なんだって。
私の中で作られた理想なんだって。









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1人でお弁当を食べながら、かーくんを見た。



卵焼きを食べたかーくんは、
「美味っ」って声を漏らした。









嬉しかった。

かーくんは私の作る卵焼きが好きだったから。
かーくんに美味しいって言ってもらいたくて、何度も何度も練習したあの味。









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お弁当が落ちた時、
かーくんは一瞬悲しそうな顔をした。







いつも笑ってる彼の悲しい顔なんて、
［あの時］くらいしか見たことないから。







私がお弁当なんて作ってきたから、彼にそんな顔させちゃった。









慌てたであろうかーくんは、私の顔色を伺うかのように目を合わせてきた。









私は気にしてない






そう伝わるように貫く。









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『………誰が作ったか分からん弁当なんて、
最初から食いたきゃないわ。』









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この言葉を聞いた時は、さすがに泣きそうになった。






でも私には泣く資格なんてない。








［あの時］

私も同じようなことを言って彼を傷つけたから。

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