仕事_101 ページ5
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『……？』
山姥切「おい、どうした」
ひのとがいるであろう場所に向かう途中で、突然Aが足を止めた。
山姥切は声をひそめる。
山姥「…見つけたのか？」
『いや、違う……恐らく大丈夫だ』
そう言って歩き出したので、山姥切は怪訝そうにしながらも隣に並んだ。
＿ ＿ ＿ ＿ ＿ ＿ ＿ ＿
漣「ん…？」
男1「どうかされましたか」
広間の手前で、Aの知らせを待つ漣がふと眉をひそめた。
役人は結界を保つために、簀子にあぐらをかいて両手を床につけている。どうやらその手を離してしまうと結界が弱まるらしい。
漣「…最悪だ。黄泉から何か引っ張り出された」
男1「よみ…？」
漣「えーと…厳密には少し違うけど、人間でいう、“地獄”」
男1「はぁ？！」
素っ頓狂な声を上げた役人は、左に立つ少年を凝視する。
ああそういえば、漣さんは人間じゃないんだった。
あわてて声を小さくして問いかける。
男1「そんなのって感知できるんですか…てかそれって大丈夫なんですか。貴方は魂を運ぶ霊的な方なんでしょう？」
漣「そうなんだけど、俺たち黄泉は管轄外なんだよ」
そんな世界にも管轄とかってあるんですね、と関心する役人。
漣は
自分が気がついたぐらいだ。Aも上司もとっくに気付いているだろう。
漣「マイフレンド…」
頼むから、無事で…
＿ ＿ ＿ ＿ ＿ ＿ ＿ ＿
人間界に会議が存在するように、神界にも会議というものがある。
名高い神々が集まる中に、当然Aの上司もいた。
「龍神はまだか」
「貴船に雨を降らせている最中だそうで」
「それは致し方ない」
早く始まってよ、と声に出さず思っていると、ふと嫌な風が流れてきた。瘴気だ。
見渡すと少し離れたところに巫女がいた。巫女と言っても人間ではなく、黄泉の封印を守る
その巫女に、蛇がするすると近づく。目が四つあることを除けば、ただの白い蛇だった。
蛇は巫女の腕を上り、何かを耳打ちした。
閉じられていた巫女の瞳が、僅かに開かれる。
「道反の巫女よ。どうされた」
「…何者かが、黄泉の封印に手をつけたようです」
見て参ります、と巫女は姿を消した。
上司は感覚を凝らして瘴気をたどる。
…そしてそこに愛しの部下の霊力を感じて、愕然と凍りついた。
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作者名：葛の葉 | 作成日時：2018年12月16日 16時
