仕事_121 ページ25
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『結界…』
Aたちも役人にならって手を伸ばす。
歌仙「背景と同化しているのか」
蛍丸「こんな“壁”っぽい結界、俺初めて見たかも」
『普通は壁ではないのか』
男1「普通の結界は、物理的には空間を隔てません。こんな強い壁…しかもこの一帯を覆うほどの規模を張るなんて、
『……これは壊せないのか』
この問いに役人は否と即答した。
男1「不可能と考えたほうが良いかと。結界内がどうなっているかも想像できませんし」
乱「そんな…！だって、中にいち兄が！」
『おい、ひのとはまだ生きてるな？』
漣「ああ」
三日月「…Aや、どうする」
Aは思案するように口元に指を当てた。
他の者たちは固唾を呑んで見守っている。
『……長谷部』
長谷部「はい」
『これ、壊せるか』
漣「ちょ、ちょっと待て、君こいつの話聞いてたか？壊せないし、中がどうなってるかもわかんないんだぞ」
『だからって放っておくのか』
漣「それは…」
答えあぐねる漣に、Aがすたすたと近づいてまっすぐ見据える。
『無謀なのはわかっている。だがこのままだと誰も望まない最悪の結果になるのだぞ。
私は二人とも救いたい。手をさしのべたいのだ。
そのためならどんな無茶だってする』
そこでAはニヤリと笑い、漣にだけ聞こえる声で宣言した。
『もちろん、
漣「っ…！」
『安心しろ、すでに前科持ちだ』
虚を突かれて絶句する漣をそのままにし、Aは長谷部のもとに立つ。
『壊せそうか？』
その問いかけには、彼女だけでなく皆が返答を待っていた。
長谷部「……」
長谷部はふっと笑って、Aの前で片膝を
長谷部「主命とあらば、結界であろうと何であろうと壊してみせますよ。＿＿＿力ずくで」
Aは嬉しげに頷く。
漣は思わず片手で目を覆った。
なんだろう。この二人、どこか似ている。
『よし。少し待ってろ』
Aは彼らから少し距離をとって直立し、両手の指先だけを合わせた。
風はないのに、髪飾りがさらさらと音をたてる。
薬研「A、何やってんだ…？」
骨喰「！！ そうか」
鯰尾「兄弟、何か知ってるの？」
骨「ああ…
Aは今、霊気で衣を編んでいる」
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作者名：葛の葉 | 作成日時：2018年12月16日 16時
