仕事_111 ページ15
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山姥切「…っ……」
地面に足を縫い止められ、体内を荒れ狂う毒の痛苦にのたうち、意識が朦朧としていた山姥切は首をもたげた。
Aを守らなければ。
その意志だけが彼の正気をつなぎとめる唯一のものだった。
くずおれそうになる肘を立て、無理矢理に足を動かす。
突き刺さった筆架叉がさらに食い込み、山姥切の唇から声にならない絶叫が
それでも。
山「A……A…っ！！」
地を掻き、必死に身を起こした。
ひのと「死ねっ！！」
ひのとが、Aに筆架叉を据えて駆け出した。
山姥切の瞳が凍りつく。心臓が音を立てて跳ね、全ての音が掻き消えた。
山「＿＿＿＿＿＿＿！」
刹那。
Aとひのとの間に滑りこむ風があった。
金属のぶつかり合う高い音がきぃんと響く。
ひのとが初めて、驚愕の色を瞳に映した。
視界を
筆架叉を受けとめたのは太刀だ。
視線を素早く走らせれば、見知った青年が冷めた目をまっすぐ自分に据えていた。
ひのと「三日月…」
名を呼ばれた彼は僅かに目を細めて筆架叉を
ひのとは飛び退り、距離を保って武器を構えた。
三日月からゆるやかに放たれる苛烈な神気が、背後のAをそっと取り巻く。
神気に浄化され、彼女にかかった術が解けた。
呪縛から開放されたAは折れそうになる膝を
ひのと「どうしてお前がここに…」
三日月「貴様には関係のないことだ」
刀で
三「さて…初代よ。おとなしく捕らわれてくれ。俺も手荒な真似はしたくないのでな」
ひのと「…お前も、俺を憎んでるのか…？」
震える声に、三日月が瞬きをした。ひのとは
やがて、ふっと笑う気配を感じた。
次いで、戦慄に
三「逆に、憎まれていないと思うか？」
血赤の瞳が大きく揺れた。
怒気をはらんだ声が脳内でこだまする。
呼吸も忘れ、ひのとは茫然と立ちすくんだ。
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作者名：葛の葉 | 作成日時：2018年12月16日 16時
