仕事_37 ページ20
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暗闇
目を開けているのか閉じているのかもよくわからないほどの黒
夢か……?
声が聞こえる
はっきりとは聞き取れない、ぼんやりと三つの声が。
泣くのを必死に堪えたような、震える声
許しを請う、悲痛な声
そして
けたけたと笑う、おぞましい声
やめてくれ。許してやれ。
ああ、なんて…
なんて苦しそうな声なんだ___
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Aは、ぱちっと目を開けた
しばらくぼけっとしていると、白と赤が視界に入ってきた。淡金色の瞳が心配そうに揺れている
鶴丸「おい、大丈夫か。俺がわかるか?」
何度か目をしばたたかせ、Aは小さく頷いた
『ああ、大丈夫だ…少し、目が回るが』
一度深呼吸をして、鶴丸に支えられながら上体を起こす
どこかと思ったら、先程戦闘があった近くの無人のあばら家だった
骨喰「すまない。気を失ったAをそのまま連れ帰る度胸は、俺たちにはなかった」
なにやら重々しく言葉をつづる骨喰を不思議そうに見返して、Aは首を傾げる
『なぜだ?…あ、鶴丸、上着ありがとう』
おう、と短く返して、Aから上着を受け取った鶴丸は わずかに身じろぎをする
二人の見解として、もし意識不明のAをそのまま本丸に連れ帰ると、大変恐ろしい事態になると思われる
まず、五虎退あたりが悲鳴を上げるだろう
加州たちもざっと青くなるだろう
山姥切や大倶利伽羅も流石に取り乱すだろう
そして何より、三日月や一期や燭台切が鞘をカチリと鳴らし、口元だけで微笑するに違いない
ちなみに鶴丸と骨喰は、最後が一番恐ろしい
Aは念のため、自分の体をぱたぱたと触って、骨が折れていないかどうかを確かめた
痛いところは別にないが、妙に胸の奥が重い
夢見が悪かった時によくこうなるが、果たして夢など見ただろうか。
『よっと』
Aはひょいと立ち上がった
大丈夫。異常なし。
Aの様子を見守っていた鶴丸と骨喰は、そっと嘆息した
『私、どれくらい寝ていたのだ?』
鶴「…一刻半といったところだ。少し、脳震盪を起こしてたみたいでな。できるだけ動かさないようにと思って、ここで様子を見てたんだ」
半分は本当だ
鶴丸がちらっと骨喰を見ると、首肯が返ってきた
よし。誤魔化し通すぞ←
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作者名:葛の葉 | 作成日時:2018年5月17日 0時