仕事_31 ページ14
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A side
＿ ＿ ＿ ＿ ＿ ＿ ＿ ＿ ＿ ＿ ＿ ＿ ＿ ＿ ＿
白い。
すべてが白く染まっている。
その中に、誰かがいた。
視界がぼやけて上手く見えないその人は、私に背を向けているようだった。
その人は、白闇の中にひっそりとたたずむ。
はらはらと舞い降りてくる、白い花を見つめ続けながら。
時折、息を白くして何かを呟きながら。
＿＿＿＿＿………い
『うん？ なんだ？』
＿＿＿＿＿…………ない
『どうしたんだ？』
よく聞こえない。
＿＿＿＿＿……………
もっと、わかるように＿＿＿＿＿。
＿ ＿ ＿ ＿ ＿ ＿ ＿ ＿ ＿ ＿ ＿ ＿ ＿ ＿ ＿
『…………んぅ…………ん？？』
あれ、私いつ寝てた…？
あぁ、一期に髪を拭いてもらってる間に寝てしまったのか。
申し訳ないことをしたな。後で謝ろう。
『…………？』
そういえば、何かの夢を見ていた気がするが…思い出せない。まぁ大した夢ではないだろう。
茵と袿を片付けて巫女装束に着替え、少し早足で広間に向かう。
途中で一期を見つけたので声をかけた。
『一期、おはよう。昨日は世話かけたな』
一期は私を振り返り、優しく微笑む。
一期「おはようございます。いえ、こちらこそ 勝手に運んでしまい申し訳ない」
しばらく言葉を交わしていると、遠くから私を呼び叫ぶ声が聞こえてきた。
加州「Aーーーっ！！！」
『加州…？』
一「どうされた、加州殿」
獅子王「んお？なんだなんだ？？」
叫び声を聞きつけ、獅子王と小夜も顔を覗かせる。
小夜「どうしたの」
加「ねえ､A､みんなも､ちょっと､来て」
目をキラキラさせた加州は私の腕を引いてどこかへと行く。
着いたのは厨の近く。そこにちょっとした人だかりができていた。
皆早起きだなぁ。
厚「なんかよくわかんねーけど、政府からすっげぇのが届いてるぞ！」
『凄いの…？』
加「ほら！ちょっと皆どいて！」
加州に中央へと引っ張られ、示した先には大きな段ボールが。
『これは』
燭台切「早朝、政府から届いたんだけど、中に、これが大量に…」
そう言い差し出されたものを見て、獅子王や一期が感嘆の声をあげる。
対して小夜と私はじっと見つめる。
差し出されたそれは、箱に綺麗に詰められた、小ぶりの赤い木の実だった。
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作者名：葛の葉 | 作成日時：2018年5月17日 0時
