【刀剣乱舞】独り消え逝く運命なら【勘違い成り代わり】

卍心の鍵十二個目卍 ページ13

＿＿＿＿遅かった

白雪の様子がおかしくなったのはすぐに気付いていた、でもトラウマを抉られればそうなるのも仕方ないと思っただけだった
ひたすらに怯え、震え、謝り、懇願する白雪に流石に異常だと理解し声をかけようとした
でもそれが遅すぎたんだ

白雪は過呼吸症状を発症しそのまま倒れ込んだ、何度名前を呼んで揺すっても反応はない
気を失ったようだ


乱「白雪!!ねぇ、起きてよ!!」


薬「落ち着け乱、身体に障る」


迷いのない行動をしながらも周りに的確に指示を飛ばす薬研は白雪を抱き上げて元居た手入れ部屋へと運んだ、僕は動けずにその場で座り込む
何でもっと早く反応してあげられなかったんだろう、彼の一番近くにいたのは僕なのに
刀が折れれば死ぬ、刀が折れなくても身体が死ねば死ぬ
付喪神って厄介だよね、弱点だらけだ
人よりちょっと頑丈なだけ、人より長生きなだけ
弱点は人より多い、人よりある種脆い


一「乱」


掛けられた声に反応する、恐る恐る顔をあげれば予想通り一兄がいた
その姿を確認すると同時に涙がこみ上げてくる、泣いていい立場じゃないことは理解している…理解、しているのに


乱「いち、にぃ･･･どうしよ僕、ぼくっ」


一「大丈夫、我々付喪神はあの程度では死なないよ…ほら泣き止んで、彼が目覚めた時乱がそばにいてあげないと彼は不安になってしまうよ」


泣き出した僕をあやすように優しく撫でながら元気付けるために微笑んで立ち上がらせてくれた、流石は多い兄弟を面倒みる長兄だと思った
だって、一兄がこう言ってくれるだけでこんなにも安堵感が僕を包み込む
しっかりしなければ、彼は僕よりも幼い
僕達の中で一番幼い前田よりも小さいのだ、しっかり守ってあげなくてどうする
この男だらけの本丸の中で一応マシに話せるのは今のところ僕だけ、きっと彼は男に怯えているはず･･･なら力になってあげられるのはこの紛らわしい姿の僕だけ

･･･清くんと次郎姉もだけど、それはおいおい話せるようにしていくとして


乱「ありがとう一兄、行ってくる!!」


一「うん、頑張っておいで」


一兄の声を背に受けて廊下を走る、普段なら歌仙さんに雅じゃないって怒られるんだろうけど流石に皆白雪の事でそれどころじゃないみたい
手入れ部屋に駆け込めば苦しそうにしている白雪が眠っていた、側に座る薬研に容態を聞く


薬「熱を出しちまったみたいだな、一種の知恵熱ってやつだ」


命に別状ないと聞いて安心してへたり込んでしまった

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