15 ページ15
北Side
「どうしたんや」
「あ、北さん……」
しとしとと雨が降り、今日の廊下はベタベタだった。
下駄箱で出くわした野口さんはそんなベタベタな廊下の隅に座り込んでいて、顔をゆがめていた。
「なんや転んだんか?」
「滑って足を捻ってしまいまして……」
「これだけ濡れてたら滑るわな……立てるか?」
「なんとか、でも手摺がないと結構きつくて、落ち着くまでここにいようかと……」
足首は紺色のソックスの上からでもわかる程腫れ上がっていて痛々しい。
ちょっとだけ待つように言い、野口さんの荷物も持つと丁度登校してきたアランに職員室経由で自分の荷物と野口さんの荷物を教室まで持って行ってもらうように頼んでから、野口さんの前で背中を向けてしゃがんだ。
「あの、北さん……?」
「保健室連れてくから、乗り」
「え、それはちょっと」
「別におんぶじゃなくて横抱きでもええんやけど」
「失礼します!!!」
手に持っていたジャージを野口さんの腰に巻き付けてもらってから首に手が回ると背中に体重が軽くのせられた。
痛みのある足首に気を付けながら野口さんを持ち上げ、保健室へと向かう。
「……北さん、何してはるんですか?」
「侑か、多分アランがまだ職員室におるからカバン受け取っておいてくれへんか?」
「ええですけど……Aどうしたん?」
「侑か、廊下で足首捻っちゃって……困ってる所を北さんが助けてくれて」
いつの間に侑が野口さんの事を名前呼びしているのが気になった。
なんやこのモヤモヤした気持ちは。
「北さん、俺代わりますよ、Aと同じクラスやし」
お前野口さんと一緒にいたいだけやろ?
あかん、コレは俺が最初や。
「ええから、もうアランに職員室に行ってAの担任の先生に言っておくよう頼んでるし」
「……」
侑が言っていたように野口さんを名前呼びすると、侑がこちらを見つめた。
「北さん、Aの事名前呼びしてはりましたっけ?」
そんなに凄んでいても怖ないで、慣れてるからな。
「さっきからや、なぁA」
「へ?」
「せやから、もう予鈴も鳴るし侑は教室行きや」
「……」
こちらを睨んでから仕方なく去っていく侑を見届け、野口さんを保健室へと連れて行った。
.
続く (更新停止中) お気に入り登録で更新通知を受け取ろう
←14
120人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:Ryu | 作成日時:2020年7月9日 13時