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「あ、いたいた」
「なんや?」
「これ、朝のお礼。鉄分入りのお菓子、あんなに沢山ありがとう」
「え、」
「購買のプリン、超おいしいから食べて」
そう言うと侑はぱちくり、と面食らったような顔をして、チラリと私を見た。
「もらってええの?」
「うん、宮くんの為に買うたし、2つあるから治くんと食べてね。」
「……なら、遠慮なくもらうわ」
ちょっと嬉しそうな侑に胸をなでおろし、じゃあと言って去ろうとしたが腕を掴まれた。
「え、何?宮くん……」
「それや」
「え?」
「宮くん、てのやめてくれへん?聞きなれてへんからなんかむず痒いわ」
ツムには治くん言うてるやろ?と言われる。
治の方が名前呼びなのは、侑のほうより治の方がまだ取っ付きやすいということもあった。
「あぁ、じゃあ、侑、くん?」
「おん、別に呼び捨てでもええし」
「あ、侑?」
「……おん」
自分の名前を呼ばれた事が嬉しかったのかふわっと笑う侑に思わずドキリと胸が高鳴った。
そうして耳元に顔を寄せられて余計にドキドキする。
「俺もこれからAって呼ぶな」
いつもより若干低くて小さなその声に思わず背筋がぞくりとする。
声までイケてるって怖い。
「……わ、わかった、じ、じゃあプリン食べてね!」
侑の顔も見ずに小走りで教室を後にした。
「はぁ、アカン、イケメン舐めてた……」
その昼休み中どころか帰るまで侑の顔を見る事は出来なかったのだった。
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作者名:Ryu | 作成日時:2020年7月9日 13時