虹色恋話 其ノ伍

いつか王子さまが 8 ページ27

迂闊やった…俺…何で今の今まで気づかへんかったんや。


神ちゃんがこないに人気あるとか…。


しかもシゲや流星なんて目がマジやん。




「なぁ神ちゃん…コンサートで俺とユニット組まへん？」

ああ…シゲに先を越されてしまった…神ちゃんニコニコしながら頷いとるし。

ここで出ていって俺も！何て言ってもきっと困らせるだけやろうし…ホンマに俺って間が悪い奴やな。


流星もめちゃめちゃ悔しそうな顔しとる…ある意味同士やな…同情するわ。

よし！今日は帰りに神ちゃんお茶にでも誘おう…最近全然話せてへんし。

「望〜集合やって」

「あ、は〜い」

なんかワクワクしてきた、俺って現金やなぁ…。








よし！誘う！今日は絶対誘う！


「神ちゃ…」


『神ちゃん駅前のケーキ屋行かへん？今日疲れたから甘いもん食いたいわ〜』

「え？ホンマに？行く行く！」


え？……目の前であれよあれよと言う間にシゲに神ちゃんを攫われてしまった。

は？？？どういう事？

呆然とアホ面下げて二人を見ている俺に、チラリと視線を寄越したシゲが薄く笑う。



「………あいつ」



全部分かっててやったんか…。

てことはシゲは俺のライバルやんな…しかも強力な。



神ちゃんの幸せそうな笑顔を見ていると、ズンと気持ちが落ちてくる。


「なんや望、どうしたんや？」

「流星には関係ない」

「お前っ人がせっかく心配してやっとるのに！その態度はなんやねん！」


怒った流星がヘッドロックをかましてきた。


「イタ…イタタタ…辞めろやぁ！濱ちゃ助けて」


わぁわぁと騒ぎながら濱ちゃんに助けを求める…それを笑いながら茶化す照史と淳太。

俺の落ち込みはそんな楽屋の幸せそうなひとコマにすり替えられてしまった。

ほんまやったら地の底までズンって落ち込むはずやったのに…。


「俺らと飯行くか？望」

「え？ホンマに！行く行く！濱ちゃんも？」

「しゃあないな〜望くんのたっての頼みやったら断れんわ」

「やった！」

「俺も行くわ暇やし」

「お！流星もか！楽しくなりそうやな」


ワイワイと結局は団体行動に落ち着いた。
店選びにスマホをのぞき込みながら十数分…結局いつもの居酒屋になるんやけどな。

「よし！ここや！」

「ああ…またそこやんなぁ」

口では残念ぶっても結構みんな楽しそう…食事はめちゃ美味いしな…ここ。

「ほんなら行こか」

荷物をもって全員が立ち上がったのと同時やった。



「ま、待って！俺も行きたい」



え？





静止の声を上げたのは…まさかの神ちゃんやった。

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