【wrwrd】○○してみた、されてみた【男主】 (ページ15)

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軍の図書館に資料がなかったので、仕方なく国の図書館へと足を運ぶ
ほとんど来ることがなかったこの場所。何度か彼と一緒に来た思い出がよみがえる。
…古書のにおいは、やはり苦手だ。
「やはり、この匂いは苦手な様子ですね」
「エミさん？…珍しい、こっちの国のここにいるだなんて」
「今回は本を探しに、というよりはあなたに会いに来ました」
どうやら、誰かが俺をこの国で見かけたらしく噂のみでここに来たらしい。
合えたのはただの偶然だけど。…俺に会いに来て、何の話かな。

「Aさん…？」
小さな声だったが、聴きなれていた後輩の声が聞こえた。
声のした方を見ると、珍しく表情の崩れたショッピくんが。
「ショッピ君…久しぶりだね。」
「お久しぶりっす…いや、そんなことよりも、なんで、いや、」
とまとまりのない彼。
「…何？俺に何か用事？」
「いえ……別に、なんでもない、です」
少し突き放すような言い方をすると何か言いかけたが、口を閉ざして去っていった。
裏切った奴に、情けなんかいらないんだよ。

書類整理をしていると、部下がお茶を持ってきてくれた。
いつもより色が濃い気がするけど…気のせいか。そう思い飲むと、口の中に広がるのはお茶の味ではなく、めんつゆの味。むせる俺を、指さす部下
「Aさん、引っかかるの２回目ですよ！もっと疑わないと～」
と明るい、彼の声がした
「げほっ……チーノ、なんで、ここに」
「俺は潜入調査、です。あなたと違って裏切ったりはしませんよ」
「そうか…」
眼鏡の奥で、こちらをまっすぐに見つめる彼。正直、真意のほどはわからない。
敵の前にのこのこ出てくるなんて、バカな奴。