・ ページ14
彼らの国から離れ、数か月もたつと俺もここに慣れてきてしまったと思う。
そんな中、久しぶりに夜の街へと繰り出す。
相変わらずきらびやかで目がちかちかする。こういうところは、あいつのほうが得意なんだよな。とかつての仲間を思い出す。
「…お前、Aか？」
想像していた彼の声が聞こえて、ついに幻聴まで聞こえるようになったかと思う。ついでに幻覚も見れたら良いのにと、振り向くと彼の姿が。
「……コネシマ、なんでここに」
「お前を探しに来たに決まってるやろ！」
「ふ、こんな夜の街にか？俺が苦手なの知っているだろう」
そんな軽口をたたくも、彼は俺の着ているものをみて顔を険しくさせた。
「お前…なんで…！」
かつての仲間である彼らを襲撃し、敵の紋様を服に刺繍された俺を見てシャオロンはつぶやいた。
近距離の強い彼。反対にメンタル面はあまり強くないことを知っている…もちろん俺も。
裏切った俺が、彼の前に現れて彼がいつも通りのテンションを保てるとは思っていなかった…けど思ったよりショックが大きかった様子。
「……見たとおりだよ。今後は、俺のことは仲間、だなんていわなくて良い。じゃあな」
シャオロンに近寄る彼らを横目に、俺はその場を立ち去った。
夜中、散歩ついでに城の屋根に上る。今日は風が強いなぁ、なんて思いながら。
「…こんな寒い日に外居ったら風邪ひくで。体強いわけちゃうんやぞ」
後ろから声がかかる。
「…ゾム、なんでここに」
「グルッペンが、ここの様子見て来いって。次、ここと戦争するみたいやで」
「……そうなんだ。」
次はここか、彼らの快進撃はとどまるところを知らないな…
「俺、今から少し大きめの独り言を言うから」
そう言って、この城の抜け道や兵の様子を言っていく。
俺の様子に怪訝な様子なゾム。…大丈夫、元々その予定だからね。
戦争が終わり、撤収している最中。
使用しているインカムからノイズが聞こえる。
「……A、なんか？」
少し高めの、聞きなれた声が聞こえてきた。さすがにここで答えるわけにはいかないので、お手洗いと言って味方から離れる。
「ロボロ、どうやって…いや愚問か。器械についてなら右に出るものはいないもんな」
俺の言葉に息をのむような、泣きそうな声が聞こえる。
「…お前が決めたなら、俺はなんも言わん。ただ忠告しとくで。次の戦争は気をつけや」
つまりは、彼らと、ということか。
裏切った俺の身を案じてくれるなんて、やっぱりお前は
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 162人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：りか | 作成日時：2021年1月3日 18時
